海外競馬ニュース 2018年04月26日 - No.16 - 2
ローウィラー騎手、賭事に関するルール違反で15ヵ月間の騎乗停止処分(香港)[その他]

 香港競馬シーズン最大の開催日の1つ、第1回チャンピオンズデー(4月29日 シャティン競馬場)を目前に控えた4月25日(水)、ナッシュ・ローウィラー騎手(43歳)が賭事関連のスキャンダルに関わったとして15ヵ月の騎乗停止処分を科されるという発表があり、動揺が広がっている。

 豪州人のローウィラー騎手はチャンピオンズデーのチェアマンズスプリントプライズ(G1)で、ミスタースタニング(Mr Stunningジョン・サイズ厩舎)に騎乗する予定だった。ブックメーカーのベット365社はこの馬に単勝3倍のオッズをつけ、本命馬の1頭としている。しかし同騎手は、"金銭・プレゼントなどの報酬"のために騎乗し、その騎乗馬についての情報を流して賭事に関して利害関係があったことで、罪を問われている。

 これらの事案についての詳細は、裁決委員の公式報告には記載されていない。しかし声明は、ローウィラー騎手がライバル馬ではなく騎乗馬の情報しか流さなかったこと、そして馬を故意に抑えた証拠はないことを明らかにしている。騎乗停止処分は直ちに適用される。

 ローウィラー騎手は、香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)の個別の2つのルールに違反したことで有罪となったが、この裁定について不服申立てを行っていない。現在、それぞれの違反のために科された15ヵ月間の騎乗停止処分を受けており、その処分は来年の7月25日まで続く。

 裁決委員の報告にはこう記されている。「2つのルール違反への処分を決定するにあたり、裁決委員は競馬の公正確保の基盤となっている次の2つの事柄を考慮した。(1)騎手が賭事を行うことや賭事に利害関係をもつことは許されないこと、(2)騎手による情報提供、そしてその結果として騎手が騎乗馬の馬主以外から、金銭・プレゼントなどの報酬を受け取ることは厳重に禁じられていること」。

 「裁決委員は情状酌量の要素として、中でも次の2つの事柄を考慮した。(1)ローウィラー騎手がインタビューや審議に常に大変協力的であったこと、(2)ローウィラー騎手が率直に証言したこと」。

 ローウィラー騎手は、有名な競馬一家の一員であり、シドニーのリーディングタイトルを3回獲得している。2014年には香港に移籍し、そこで134勝を挙げている。生涯勝利数は2,000勝以上(G1・50勝以上を含む)。

 同騎手は2016-2017年シーズン、重大な落馬事故により肩の脱臼および椎骨・足の骨折を負ったことで早めの4月に離脱したが、今シーズンは復帰して40勝を挙げており、ジョアン・モレイラ騎手とザック・パートン騎手に続くリーディング3位となっていた。

 HKJCが出した声明において、競馬統括担当専務理事のアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)氏はこう述べた。「HKJCのこの事案への対応は、ルール違反を取り締まるうえでのHKJCの制度の熟練性と強さを示しています。さらに、香港競馬の最高水準の公正性を確かにするための私たちの揺るがぬ決意も示しています」。

 また声明は、"HKJCはローウィラー騎手に科された制裁が国際的に適用されることを求めるだろう"と付記している。

By Howard Wright

[Racing Post 2018年4月25日「Leading jockey Nash Rawiller banned for 15 months for breaching betting rules」]