ヴィクトリア・スミス(Victoria Smith)氏(53歳)は、トランスジェンダー(身体の性と自己認識としての性とが一致しないこと)の騎手として、ウォリックチャリティー平地レース(5月23日)で騎乗した。同氏はこれにより、同じ立場の人々にカミングアウトする勇気を与えることを望んでいる。
スミス氏は騎手として、ヴィンス・スミス(Vince Smith)という名で250勝を挙げた。また調教師として、G3優勝馬ブリッツクリーク(Blitzkrieg)など多くの勝馬を手掛けた。同氏は昨年末、自身が同性愛者であることを友人や家族に告げた。
カミングアウトしてから初めて騎手として騎乗したスミス氏は、このチャリティーレースで2着となり、一日の感想をこう述べた。
「誰もが素晴らしい対応をしてくれ、検量室の女性騎手たちもウォリック競馬場の人々も皆、偏見を持たずに力になってくれました。歓迎されたように感じます」。
「騎手に復帰してトランスジェンダー騎手として騎乗するチャンスが与えられることなど、考えたことがありませんでした。とても素晴らしいことです」。
「自分のためにやったことですが、同じ立場の人々にチャンスが開かれることを望んでいます。今回のレース参加は、カミングアウトをためらう人々に、そうする勇気を与えられたかもしれません」。
ニューマーケットのゴドルフィンで警備員として働くスミス氏はこう付言した。「もう一度騎乗を依頼されるようなことがあれば、嬉しく思います。ドンカスター競馬場のレジャーレジェンズ(Leger Legends 9月のセントレジャーフェスティバルの初日に行われる引退騎手によるチャリティーレース)に騎乗することが夢です。来年の参加者リストに入っているようです」。
スミス氏にロイロケット(Roy Rocket)に騎乗するよう依頼したジョン・ベリー(John Berry)氏はこう語った。「特別な機会に関わることができて嬉しく思います。彼女を誇りに思いますし、力になれたこと、そして彼女のレース参加に携わることができて光栄です」と語った。
By Peter Scargill
[Racing Post 2018年5月23日「Transgender rider Smith hopes to open doors for others after charity race second」]