スタディオブマン(Study Of Man)は仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)で優勝することにより、前日サクソンウォリアー(Saxon Warrior)が達成し損ねていたディープインパクト産駒による欧州のダービー制覇を成し遂げた。同馬のシーズン後半の活躍には注目が集まるだろう。
フラックスマン・ステーブルス・アイルランド社(Flaxman Stables Ireland Ltd.)のオーナーであるニアルコスファミリー(Niarchos family)は、1週間のうちにクラシック競走を2勝したことになる。仏ダービー(G1)の7日前に、アルファケンタウリ(Alpha Centauri)が愛1000ギニー(G1)を制したのだ。アルファケンタウリは、スタディオブマンと同様にミエスク(Miesque)の母系に属している。
パタスコイ(Patascoy)を½馬身退けてこのレースを制したスタディオブマンは、ステファーヌ・パスキエ騎手に仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)初優勝をもたらした。また、パスカル・バリー(Pascal Bary)調教師は仏ダービー6勝目を果たしたことになり、アラン・ド・ロワイエ-デュプレ(Alain de Royer-Dupre)調教師の記録と並んだ。
スタディオブマンの陣営は、この春3戦した同馬の今後の出走計画を慌てて決定するつもりはない。しかし、ニアルコスファミリーのレーシングマネージャーであるアラン・クーパー(Alan Cooper)氏は、凱旋門賞(G1)への挑戦を真剣に考えるかもしれないと述べた。なおスタディオブマンの凱旋門賞制覇には現在、オッズ11倍~21倍が付けられている。
クーパー氏はこう語った。「凱旋門賞を絶対に挑戦しなければならないレースとは考えていません。しかしステファーヌは数ヵ月前、"この馬はロンシャンの10月の第1日曜日のレースに向いているかもしれない"と言いました」。
最後の直線でわずかに斜行して審議とされたパスキエ騎手は、2400mのレースもスタディオブマンの射程圏内であると考えている。
パスキエ騎手は、「荒々しいレースだったので、発走時に考えていたよりも激しく追わなければなりませんでした。そのため、グレフュール賞(G2)よりも、強引な乗り方になりました」と語った。
「落ち着いたペースで2400mを走るのであれば、もっと穏やかに騎乗できるかと思います。それにその距離では、彼の加速力を活かすチャンスがあるでしょう」。
バリー調教師はレース後の記者会見で、スタディオブマンが最初から見せていた素質について話しているうちに、感極まって声を詰まらせた。
「スタディオブマンはすべてを理解する馬なので、入厩してから常に優秀でした。何でもやってのけ、指示されたことはすべて期待を少し上回るほどうまくこなしました。このような馬を管理するのは夢のようなことです」。
エレクトラ・ニアルコス(Electra Niarchos)氏も感動してこう語った。「パスカルはずっとこの馬を信頼してきました。昨年、私たちがセンガ(Senga)で仏オークス(G1 ディアヌ賞)を制したとき、パスカルはすでにスタディオブマンのことを話していました」。
バリー調教師は長い間、優等生スタディオブマンが母系から受け継いだスピードと卓越性を保持しているという信念を曲げずにいた。その信念が、前日にエプソムで施行された英ダービー(G1)ではなく、シャンティイの仏ダービーに挑戦させる決め手となった。
バリー調教師はこう語った。「スタディオブマンは、2400mよりもマイルに向いた血統なので、2400mのレースに出走させるのであれば、徐々に距離を伸ばさなければなりませんでした」。
「まだ今回が4戦目の経験の浅い馬なので、いきなり難しいことを指示することはできません。フランソワ・ブータン(Francois Boutin)調教師がミエスクを管理していたときに、急に2100mのレースに挑戦させて唯一の敗北を喫したのを覚えています」。
仏2000ギニー(G1 1600m)を制してこのレースで1番人気となっていたオルメド(Olmedo)がそうなったケースかもしれない。同馬は好位に付けていたが、最後の直線で段々と消えていった。仏2000ギニーで首差の2着だったヘイガマン(Hey Gaman)は、先頭に立っていたが残り100mで交わされ最終的には7着となった。
ジェームズ・テート(James Tate)調教師はヘイガマンについてこう語った。「16頭立てでクールモアのペースメーカーが2頭いましたが、ヘイガマンは自然に先行しました。直線で他馬の挑戦を受けた時には、スタミナが切れてしまいました。今後はマイル戦か今回よりも楽な2000mのレースに出走させることを考えています。それでも彼は良いレースをしました」。
競馬予想家たちは上位で入線した馬に有力馬がいなかったことに不満を言うだろう。2着馬パタスコイだけでなく、3着馬ルイドール(Louis D'Or)や4着馬アンテロジャン(Intellogent)も人気のない馬だった。
それでもグザビエ・トマ-ドゥモールト(Xavier Thomas-Demeaulte)調教師は、パタスコイ(Patascoy)にすっかり感心していた。同馬はミカエル・バルザローナ騎手を背に、道中ずっと外側を走ってきたが、直線では遠くからゴールに向けて猛進してきた。
「外側からの発走は不利な条件でしたが、素晴らしいレースをしました。決勝線ではどれほどの闘志を持っているかを見せつけました。私たちのような小さい厩舎にとっては、素晴らしい快挙です」。
エプソムでクラシックを制したチャーリー・アップルビー(Charlie Appleby)調教師もエイダン・オブライエン調教師も、シャンティイで新たなクラシック勝利を挙げられなかった。バリードイルの中での最高着順はハンティングホーン(Hunting Horn)の6着で、ゴドルフィンが追加登録で出走させたキービクトリー(Key Victory)は8着だった。
By Scott Burton
[Racing Post 2018年6月3日「Sun rises for Study Of Man and Deep Impact with rousing victory」]