生産界の巨大勢力ゴドルフィンとクールモアの関係の回復が、あらためて確認された。ウェザビーズ社(Weatherbys)に提出された2018年の種付状況で、クールモアの多くの超優良牝馬がダーレーの看板種牡馬ドバウィ(Dubawi 父ドバイミレニアム)のもとに送られたことが判明したのだ。
ウェザビーズ社のオンラインの産駒報告(Bloodstock Reports)によれば、クールモアは、ガリレオ・モンジュー・サドラーズウェルズを父あるいは近親とする優良牝馬に対して貴重な異系交配種をもたらすためにドバウィを支持している。
ドバウィはこれらの優良牝馬と相性が良いように思われる。なぜなら、才能あるドバウィ産駒であるナイトオブサンダー(Night Of Thunder)やダートマス(Dartmouth)の母父はガリレオであり、G1を制したドバウィ牝駒ジャーニー(Journey)の母父はモンジューだからである。
しかしこれまで、クールモアがドバウィに繁殖牝馬を送ることはありえないと考えられてきた。なぜなら、モハメド殿下の事業体は過去10年間、クールモアの種牡馬の産駒を購買することやクールモアの種牡馬のもとに繁殖牝馬を送ることを控えるというスタンスをとってきたからだ。
ところが昨年、状況は一変した。CEOジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏がゴドルフィンを去って、新しい購買チームが1歳セールでガリレオなどクールモアの種牡馬の産駒を高額で購買するようになり、取引を解禁したのだ。
この方針転換はすでに功を奏している。オーストラリア(父 ガリレオ)の牝駒で37万ギニー(約5,633万円)で購買したビヨンドリーズン(Beyond Reason)が、ゴドルフィンのブルーの勝負服を背負って7月28日のシックスパーフェクションズ賞(G3 ドーヴィル競馬場)を制している。
クールモアは、ダーラムホールスタッド(Dalham Hall Stud)で供用されるドバウィのもとに、現役時代にG1を数回制し今年繋養1年目の牝馬2頭を送った。
・ アリススプリングス(Alice Springs 父ガリレオ)
・ セブンスヘブン(Seventh Heaven父ガリレオ)
また、ドバウィのもとに送られた牝馬グループの中には以下の馬もいた。
・ ウォズ(Was 父ガリレオ)...英オークス馬。これまでウォーフロント産駒3頭を出産。
・ キスト(Kissed 父ガリレオ)...リステッド勝馬。プールモワ(Pour Moi)の半妹。リステッド3着馬のレオミナー(Leo Minor 父ウォーフロント)を送り出している。今年はアメリカンファラオ牡駒を出産。
さらに、クールモアパートナーズが所有するモンジューの牝馬2頭がドバウィのもとに送られたようだ。
・ ブレスレット(Bracelet)...愛オークス馬。今年はアンクルモー牝駒を出産。
・ チキータ(Chicquita)...G3・3着のウォーフロント牝駒シークレットソーツ(Secret Thoughts 2歳)を送り出している。今年はアメリカンファラオ牝駒を出産。
今年ドバウィと交配した他のクールモアの繁殖牝馬は以下のとおりである。
・ パヴレンコ(Pavlenko 父ディープインパクト)... リステッド3着。母はG1馬メイビー(父ガリレオ)。サクソンウォリアー(Saxon Warrior)の全姉。
・ ペリヘリオン(Perihelion父ガリレオ)...英オークス馬クオリファイ(Qualify 父ファストネットロック)を送り出している。
・ ワンダーオブワンダーズ(Wonder Of Wonders 父キングマンボ)... 母オールトゥービューティフル(All Too Beautiful)がサドラーズウェルズの全妹であることから、ガリレオの異系交配種を求める必要性が生じている。
ドバウィとガリレオ牝馬の組合せは今年、生産者の間で人気のある選択だったようだ。合計26頭のガリレオ牝馬がドバウィのもとに送られた。
ゴドルフィンのジョー・オズボーン(Joe Osborne)氏は昨年、「モハメド殿下は2018年に初めてガリレオのもとに数頭の牝馬を送るでしょう」と述べていた。しかしウェザビーズ社では2018年にガリレオのもとに送られた繁殖牝馬を確認できないので、ゴドルフィン側からの"休戦"については把握できていない。
By Martin Stevens
(1ポンド=約145円)
[Racing Post 2018年7月30日「Stellar Coolmore mares sent to Godolphin golden boy Dubawi in 2018」]