海外競馬ニュース 2018年08月23日 - No.32 - 3
ロアリングライオン、成長を遂げて英インターナショナルSを制覇(イギリス)[その他]

 ロアリングライオン(Roaring Lion)の活躍ぶりにより、私たちは「クラックスマン(Cracksman)とエネイブル(Enable)はもう必要ではないのではないか?」という気になる。

 未熟さという脅威がゴールへの道を塞ごうとしたとき、ロアリングライオンはいたずら好きな青二才からG1という獲物を狙う獰猛なハンターに姿を変えた。この筋肉隆々の芦毛の馬はこれまでで一番威厳のある熟達したパフォーマンスを見せ、英インターナショナルS(G1)の他の出走馬はその逞しさに歯が立たなかった。

 出走馬8頭のうち1頭以外がすでにG1を制していることで、このG1競走は極上の質を誇った。このレースは期待を裏切るものではなかったが、ロアリングライオンの優勢を予測するのは難しかった。同馬はオイジン・マーフィー(Oisin Murphy)騎手を背に道中悠々と走り、エンジンを全開にして世界で2番目に高いレーティングをもつポエッツワード(Poet's Word)を3¼馬身退けて勝利を手にした。

 同じジョン・ゴスデン厩舎の凱旋門賞(G1)優勝馬エネイブルはヨーク競馬場のこのレースを回避し、クラックスマンも出走しなかった。ロアリングライオンは、スター馬がひしめくゴスデン厩舎(ニューマーケット)の頂点に立つこの2頭の影から姿を現した。エクリプスS(G1 サンダウン競馬場)に続き優勝を決めたことで、ロアリングライオンは新たに代表的な平地の中距離馬となった。

 ゴスデン調教師は皆と同じように目にした光景に満足し、こう語った。「ロアリングライオンは調教で驚くほど好調でした。私たちはそれを隠していたわけではありません。キーラン・オニール(Kieran O'Neill)氏とロアリングライオンを世話したベンに、お祝いを言わなければなりません。彼らは見事な仕事をしました」。

 昨年のレーシングポストトロフィー(G1)で気まぐれな行動を見せてチャンスを取りこぼしたロアリングライオンは、今シーズンは初戦のクレイヴンS(G3)で3着となり、控えめな滑り出しだった。しかしその後、穏やかな気候となったこともあって才能が開花した。

 ゴスデン調教師はこう続けた。「ロアリングライオンは厳しい春を迎えました。寒くて雨がちな芳しくない気候で、彼の調子はあまりよくありませんでした。しかし、その後、どんどん進化し、それはまぐれではありませんでした。昨年はレーシングポストトロフィーを棒に振りました。クレイヴンSのときもギニー競走のときも本調子ではありませんでしたが、ギニー競走に出走したことで良化しました」。

 「英ダービー(G1)では最後まで粘った1頭でしたが、ゴールでは全力ではありませんでした。それでもエクリプスSで優勝し、今回のレースでも勝てました。中距離もこなすようになり、時とともに大きく強くなっています。その成長は上向きのカーブを描いており、エクリプスSで走ったときよりもずっと良い馬になっています。素晴しいパフォーマンスをするのではないかと期待していましたが、そのとおりになりました」。

 優勝馬がつねに堂々としていた一方で、ポエッツワードは最後の直線で追われるのが遅くて抜け出すことができず、左側を回らなければならなかった。理想には程遠い位置取りだったが、"不運な敗者"とは呼べそうにもないだろう。なぜなら、ロアリングライオンが最後まで全力で走り抜き支配的な勝利を収めたからだ。

 ロアリングライオンの次のレースの候補はアイルランドと英国のチャンピオンS(いずれもG1)であるが、ゴスデン調教師はさらにその先についても検討している。ロアリングライオンが4歳以降も現役を続けるのであれば、もっと格式高いレースを制覇できると確信している。

 ゴスデン調教師はこう付言した。「エクリプスSには優秀な古馬がおらず、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)にも優秀な3歳馬はいませんでした。しかし、これらの馬と対戦する今、ロアリングライオンは1¼マイル(約2000m)で素晴らしいパフォーマンスを見せています。彼はがっしりしていますが、まだ3歳です。秋以降に成長が止まると考える理由はありません。現役を続ければ、5歳で真の頂点に立つでしょう」。

 ロアリングライオンが現役を続けるかどうかは、馬主のファハド殿下の判断にかかっている。殿下はカタールレーシング社にとって今年3勝目となるこのG1勝利を"競馬に関わり始めて一番のハイライト"と表現し、こう語った。「私はドゥーナデン(Dunaden)が優勝したメルボルンカップ(G1)をベストレースとしていたのですが、今回のレースはそれに勝るものかもしれません。競馬場の直線で私たちが見たロアリングライオンがすべてのG1馬を打ち負かす光景はまったく驚異的でした。ゴスデン調教師はいつもこの馬を信頼していました。私たちは皆、この馬に最高の日々が訪れ、勝利を見せつけることを確信していました」。

 ロアリングライオンが来シーズンも現役を続けるかについて聞かれ、ファハド殿下はこう付言した。「次走はおそらく愛チャンピオンSになるでしょう。しかし、現段階で来年のことについて話すのは時期尚早です」。

 ゴスデン調教師が思うようにできるのであれば、ロアリングライオンは来年も、おそらくそれ以降も厩舎にいるだろう。今後を見守ることにしよう。


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By Lewis Porteous

[Racing Post 2018年8月22日「Roaring Lion comes of age in vintage Juddmonte International」]