今シーズン、呼吸器疾患がバリードイル(クールモア牧場の調教拠点)を苦しめている。エイダン・オブライエン氏が調教師人生で経験した中で最悪の事態である。
数々の記録を達成してきたオブライエン調教師は、管理馬は窮地を脱したと考えている。しかし、インフルエンザに似た症状からの回復を待つのに我慢を要したため、これらの馬が例年のこの時期ほど良い状態ではないことを認めた。
それでもオブライエン調教師は8月23日、フェアリーランド(Fairyland 牝2歳)がロウザーS(G2 ヨーク競馬場)でザマッケムブリット(The Mackem Bullet)を鼻差で負かしたことで、勝利を手に入れた。手綱を取ったライアン・ムーア騎手は、フェアリーランドは最後の2ハロン(約400m)を走るのに大変苦労していたと語った。
オブライエン調教師に驚いた様子は全くなく、「馬の状態が良くなるまで待つ以外に選択肢はありません。例年のこの時期に比べて体調がピークに達していません」と述べた。
オブライエン調教師の今年の英国での勝率はわずか9%。この勝率は、2014年(14%)以降の5年間で最低である。なお、世界最多G1勝利記録を塗り替えた2017年の勝率は19%。
バリードイルにある3つの調教場すべてにこの疾病が広がっている状況を、オブライエン調教師は次のように説明した。
「感染はすべての調教場を含む広い範囲に拡大し、私たちのところに到達しました。喉に痰がたまるような呼吸器疾患です。人間がインフルエンザに罹ったときのようです。バリードイルでの調教活動において最悪の出来事ですが、誰にも起こりうることなので不平は言いません。これは空気感染するので、1頭がくしゃみをすれば、100ヤード(約90m)離れた馬が影響を受ける可能性があります。これが現状ですので、誰もがこのように我慢する方法でしか対処できません」。
「シーズンは終わったわけではありません。我慢が必要です。レースごと、馬ごとに判断しなければなりません。シーズン中ずっと出走し続けてそれほど調子を崩していない馬もいますが、それ以外の馬に関しては、ただ忍耐づよく待たなければなりません。幸いにも、厩舎スタッフはとても我慢強く、状態が良くない馬を無理に走らせるようなことは決してありません」。
オブライエン調教師はこう付言した。「大事なのは再発させないことです。サクソンウォリアーはエクリプスS(G1)の後に状態が良くありませんでした。しかし回復してきたようなので、昨日の英インターナショナルS(G1)に出走させました(結果は4着)。これらの若い牡馬に必要なことは、重要なレースで出走させられるようにすることです」。
By Peter Scargill
[Racing Post 2018年8月23日「'The worst we've ever had' - Aidan O'Brien on the bug that has hit yard form」]