香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)は年次報告書(8月末発行)において、「海外パートナーとの共同賭事プールは、競馬賭事売上げ増加に貢献している」と述べている。
6月30日までの事業年度において、競馬とサッカーの賭事売上げは過去最高を記録した。
・ 競馬賭事売上げ...1,228億香港ドル(約1兆7,192億円 前年比6%増)
・ サッカー賭事売上げ...1,031億香港ドル(約1兆4,434億円 前年比11.2%増)
全体的な賭事売上げは2,340億香港ドル(約3兆2,760億円 前年比8.1%増)となった。
2017-18年度の競馬賭事売上げのうち、海外パートナーとの共同賭事プールによる売上げは166億香港ドル(約2,324億円 前年比154.8%増)で、全体の13.3%を占める。一方、香港における地元競馬の賭事売上げは3.1%減少した。
HKJCは現在、10ヵ国の38のパートナーとともに共同賭事プールを運営している。来年のロイヤルアスコット開催(5日間)では、アスコットベット(AscotBet)やトートプール社(Totepool)と組み、 "アスコットワールドプール(Ascot World Pool)"を運営する。HKJCが海外競馬を対象に共同賭事プールを運営するのは初めてのことである。
HKJCのCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス氏はこう語った。「香港競馬は、レースの魅力・賭事プールの取引総額の大きさ・情報の質と入手しやすさにより、海外のファンの間で人気を博しています。またHKJCの高水準の公正性も評価されています」。
「一方香港においても、凱旋門賞ウィークエンドや英チャンピオンズデーなど、海外競馬への関心が高まっています。海外競馬を対象としたサイマルキャスト馬券発売の売上げは12%増加しています」。
「これはすべて、競馬のグローバル化によるものです。ファンは競馬がどこで開催されていようとも、馬券が買えるようになることを望んでいます。疑いようもなく、香港での一層多くのサイマルキャスト馬券発売が期待されています」。
しかし、レギュラスパートナーズ社(Regulus Partners 賭事に関するコンサルタント会社)のアナリストたちは、HKJCが発表した数字の中には心配の種があるかもしれないと述べた。
同社は国際的な競馬賭事プールの重要性の高まりについて、次のようにコメントした。「共同賭事プールの拡大は売上げ増加に繋がり、海外競馬への関心を高めます。しかし私たちの見解では、最も持続可能なシステム全体にわたる収入源は、依然として地元プールで行われる賭事です。もし香港での地元競馬の売上げが減少傾向にあるならば、これは賭事の"生態系"に予期しない重大な結果をもたらすかもしれません」。
By Bill Barber
(1香港ドル=約14円)
[Racing Post 2018年9月4日「Commingling boost for Hong Kong Jockey Club」]