フェニックスサラブレッズ社(Phoenix Thoroughbreds 以下フェニックス社)は、2日間のゴフス社オービーセール(Goffs Orby Sale)において、計6頭を総額599万ユーロ(約7億7,870万円)で購買した。10月2日(火)にはG1・3勝牝馬アリススプリングス(Alice Springs)の全妹(父ガリレオ)を200万ユーロ(約2億6,000万円)で、10月3日(水)には英オークス馬フォーエバートゥギャザー(Forever Together)の全妹(父ガリレオ)を320万ユーロ(約4億1,600万円)で落札している。
投資者のために利益を生み出さなければならない登録投資ファンドであるフェニックス社にとっては、パンチの効いた購買額に思えるかもしれない。しかし、同社の創設者アメル・アブドゥルアズィーズ(Amer Abdulaziz)氏は、この大型投資のアプローチは大きな利益につながると主張する。
同氏はフェニックス社の高額投資について意見を求められたときにこう語った。「人々は私たちがクレイジーだと考えているかもしれません。しかしそれが私たちの運営方法です。競走馬への投資は結果が出るのに時間が掛かります。それに、私たちが購買するだけでなく優良馬を数頭売却していることも忘れてもらっては困ります。ドリームトゥリー(Dream Tree)がその一例です」。
無敗のG1優勝牝馬ドリームトゥリー(父スキャットダディ)は、もともと75万ドル(約8,625万円)で購買された。同馬はキーンランド11月繁殖セール(Keeneland November Breeding Stock Sale)で上場される予定。
アブドゥルアズィーズ氏は、320万ユーロで落札したフォーエバートゥギャザーの全妹(母グリーンルーム)についてこう語った。「彼女を購買するために予算を用意していました。最初は250万ユーロ(約3億2,500万円)で落札するつもりでしたが、少し増額しました。クールモアは本気で彼女を落札したがっていました。クールモアが関心を持つような牝馬ですから、最高のクオリティーの馬に違いありません。それもあって、何としても彼女を手に入れようと決心しました」。
同氏は、ガリレオ牝駒2頭を合計520万ユーロ(約6億7,600万円)で購買する計画をいつ立てたのかについて説明した。「セリの1週間前、セリ名簿を見てこれら2頭の牝駒に興味を持ちました。しかしセリに来て、彼女らの馬格・歩き方・歩様検査を目にし、"これまで見た馬とは全く違う"と驚きました」。
「水曜日には他の馬も購買予定馬リストに入れていましたが、それらの馬は諦めて彼女に集中すべきだと思いました。このような馬は今後10年ないし15年上場されないかもしれません。それにガリレオは老いつつあるので、彼女らのような優れた1歳馬は二度と上場されないかもしれません」。
「これらの牝駒は競走生活を終えたら、繁殖牝馬として繋養する予定です。このような血統には間違いはないでしょう。最高のクオリティーです」。
フェニックス社は、オービーセールの直前のキーンランド9月セールでも大きな買い物をした。合計21頭を総額879万ドル(約10億1,085万円)で購買している。
この急成長するチームが衝撃を与えているのはセリ会場においてだけではない。競馬場においても、所有馬が注目に値する勝利を挙げ、人々をあっと言わせている。中でも、アドヴァタイズ(Advertise)はフェニックスS(G1)で優勝し、シニョラカベロ(Signora Cabello)はロベールパパン賞(G2)とクイーンメアリーS(G2)を制している。
(1ユーロ=約130円、1ドル=約115円)
[Racing Post 2018年10月3日「'People might think we're crazy' - Amer Abdulaziz on Phoenix's Orby spree」]