海外競馬ニュース 2018年11月08日 - No.43 - 4
パディパワー・ベットフェア社、盗まれた金の流入で過料を科される(イギリス)[開催・運営]

 英ブックメーカーのパディパワー・ベットフェア社(Paddy Power Betfair)が賭事依存症の顧客を保護せず、盗まれた金が賭事に使われるのを阻止できなかったことが、調査によって判明した。賭事委員会(Gambling Commission)は同社に対し、220万ポンド(約3億3,000万円)の過料の支払いを命じた。

 賭事委員会は、同社が賭事依存症の可能性がある顧客に対して適切なチェックを行っておらず、盗まれた大金がベッティング・エクスチェンジ(賭事客同士で行う賭事)に使われたと述べた。

 パディパワー・ベットフェア社は、英国において賭事による弊害を減らすことを目指す慈善団体ギャンブルアウェア(GambleAware)へ170万ポンド(約2億5,500万円)を支払うことを命じられた。また、影響を受けた人々に50万ポンド(約7,500万円)を返還する。このほか、賭事委員会の調査費のために5万ポンド(約750万円)を支払う。

 賭事委員会の常任理事であるリチャード・ワトソン(Richard Watson)氏はこう語った。

 「パディパワー・ベットフェア社の不手際により、盗まれた大金がベッティング・エクスチェンジに流入しました。看過できない出来事です」。

 「ブックメーカーは、犯罪により手に入れた金が賭事に使われることがないよう顧客の保護に努める義務を負っています。このような失敗は、"ブックメーカーは顧客を知らなければならない"という基本的な原則により防ぐことができます」。

 「顧客を知ったうえで適切な問いかけを行えば、マネーロンダリングを防止し社会的責任を果たすにあたり、強い立場にたつことができます」。

 調査結果によれば、パディパワー・ベットフェア社は5件の異なる不始末を起こしていた。うち3件は同社のウェブサイトとベッティングショップの利用客に関係し、2件はベッティング・エクスチェンジに関わるものだった。

 賭事委員会によれば、同社の顧客の1人は勤め先の慈善団体から大金を盗んだとされている。示談の一環として、その金は関係した慈善団体に返還されるだろう。

 パディパワー・ベットフェア社のCEOピーター・ジャクソン(Peter Jackson)氏はこう語った。「ブックメーカーは、顧客が賭事依存症の兆候を示したときに介入する責任を負っています。しかし、この5件の事案において、私たちの介入には効果がありませんでした。このようなことが生じたことを誠に遺憾に思います」。

 「弊社は近年、責任ある賭事と顧客の保護を促進するために、人材と体制の強化を図る幅広いプログラムに投資しました。これらの事案が発生した2016年以後は大幅な改善が行われたことを賭事委員会が認めており、私たちは勇気づけられています」。

 「これは継続的な取組みです。今後顧客をさらに保護するために、弊社は他のブックメーカーおよび賭事委員会と協力し合っています」。

 この1週間において、賭事委員会が処分を言い渡すのは3回目である。

 10月10日には、カジノ・ビンゴ運営業者ランクグループ(Rank Group)に対し、50万ポンド(約7,500万円)の過料の支払いを命じた。同社は賭事依存症の顧客を保護するという賭事委員会のルールを順守していなかった。

 10月15日には、独立ブックメーカーのマーク・ジャーヴィス(Mark Jarvis)氏に対し、9万4,000ポンド(約1,410万円)の過料の支払いと、顧客保護の手順を全面的に見直すことを命じた。同氏は、ベッティングショップのゲーム機"FOBT(固定オッズ発売端末)"で3万4,000ポンド(約510万円)を費やすなど、賭事依存症の兆候を見せていた顧客を保護していなかった。この顧客は雇用主から1万1,250ポンド(約169万円)を盗んでいた。


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By James Stevens and Bill Barber

(1ポンド=約150円)

[Racing Post 2018年10月17日「Paddy Power Betfair fined £2.2m after stolen money is gambled online」]