ジョン・ゴスデン調教師にとって記憶に残る夜となった。11月13日夜、第28回カルティエ賞授賞式(ロンドンのドーチェスターホテルにて開催)において、ロアリングライオン(Roaring Lion)が年度代表馬と最優秀3歳牡馬に選ばれたほか、3頭の管理馬がその他の部門で受賞を果たしたのだ。
2016年、カタールレーシング社の競走・生産マネージャーのデヴィッド・レッドヴァース(David Redvers)氏は、1歳のロアリングライオンを16万ドル(約1,840万円)で購買した。同馬は今年、G1・4連勝を果たすという驚異的なシーズンを過ごした。
ロアリングラインオンは英2000ギニー(G1)で5着、英ダービー(G1)で3着に健闘した。その後1¼マイル(約2000m)以上のエクリプスS(G1 サンダウン競馬場)、英インターナショナルS(G1 ヨーク競馬場)、愛チャンピオンS(G1 レパーズタウン競馬場)を立て続けに制した。それらの勝利に続いて挑んだマイル(約1600m)のクイーンエリザベス2世S(G1 アスコット競馬場)では、重馬場で繰り広げられた激戦を制した。
ロアリングライオンはゴスデン調教師にとってこの5年間で4頭目の欧州年度代表馬となった。2014年にはキングマン(Kingman)、2015年にはゴールンデンホーン(Golden Horn)、2017年にはエネイブル(Enable)がこの栄誉を獲得している。
エネイブルは今年、最優秀古馬に選出された。名牝エネイブルは今シーズン、怪我によりなかなか出走できなかったが、終盤になって凱旋門賞(G1 パリロンシャン競馬場)とBCターフ(G1 チャーチルダウンズ競馬場)を制し、ピークに返り咲いた。
最優秀長距離馬に選ばれたのは、ゴスデン厩舎のストラディヴァリウス(Stradivarius)である。同馬は今シーズン、ゴールドカップ(G1)、グッドウッドカップ(G1)、ロンスデールカップ(G2)を連勝するなど5戦5勝を果たし、"WHステイヤーズミリオン(WH Stayers' Million)"優勝馬となった[訳注:WHステイヤーズミリオンは、トップクラスの長距離4レースをすべて制した馬に100万ポンド(約1億5,000万円)のボーナスを提供するシリーズ]。
また、デューハーストS(G1)優勝馬トゥーダーンホット(Too Darn Hot)が最優秀2歳牡馬に選出されたことは、ゴスデン調教師の記憶に残る夜を華やかに締め括った。来年の英2000ギニーの出走馬確定前の賭けで1番人気とされている同馬は、ロイド-ウェバー卿(Lord Lloyd-Webber)に所有されている。
ゴスデン調教師はこの夜、カルティエ賞において合計5部門で受賞した2人目の調教師となった。2016年に、エイダン・オブライエン調教師がこの快挙を成し遂げている。
最優秀3歳牝馬に選ばれたのは、ジェシカ・ハリントン(Jessica Harrington)調教師が管理したアルファセントーリ(Alpha Centauri)である。同馬は、愛1000ギニー(G1)、コロネーションS(G1)、ファルマスS(G1 ニューマーケット競馬場)で記憶に残るパフォーマンスを見せ、熱狂的なシーズンを送った。
最優秀短距離馬に選ばれたのは、マイケル・ドッズ(Michael Dods)厩舎のアベイドロンシャン賞(G1)優勝馬マブスクロス(Mabs Cross)。一方、最優秀2歳牝馬に選ばれたのは、モイグレアスタッドS(G1)優勝馬スキッタースキャッター(Skitter Scatter)。同馬は、ロジャーズ家(Rogers family)に所有され、パトリック・プレンダーガスト(Patrick Prendergast)調教師に管理された。
カルティエ賞の顧問であるハリー・ハーバート(Harry Herbert)氏はこう語った。「今年もまた欧州競馬界にとって素晴らしい年となりました。5部門で受賞したジョン・ゴスデン調教師とそのチームにお祝いを述べたいと思います。ロアリングライオンは今シーズンG1・4勝を果たし、その名に恥じない勇ましい活躍を見せました」。
2018年カルティエ賞受賞馬
年度代表馬 - ロアリングライオン
最優秀2歳牡馬 - トゥーダーンホット
最優秀2歳牝馬 - スキッタースキャッター
最優秀3歳牡馬 - ロアリングライオン
最優秀3歳牝馬 - アルファセントーリ
最優秀短距離馬 - マブスクロス
最優秀長距離馬 - ストラディヴァリウス
最優秀古馬 - エネイブル
By Tom Ward
(1ドル=約115円、1ポンド=約150円)
[Racing Post 2018年11月13日「Roaring Lion named Horse of the Year as Gosden team scoop five Cartier awards」]