2012年に米国二冠(ケンタッキーダービー&プリークネスS優勝)を達成し最優秀3歳牡馬となったアイルハヴアナザー(父フラワーアレー)は、日本から米国へ帰国した。同馬は2019年種付シーズンにバレナビスタファーム(Ballena Vista Farm カリフォルニア州ラモナ近く)で供用される。米国での最初の種付料は6,000ドル(約69万円)。
アイルハヴアナザーは現役時代、J・ポール・レッダム(J. Paul Reddam)氏に所有された。ビッグレッドファームに1,000万ドルで購買され、北海道の同ファームで5年間供用された。日本では、2016年ファーストクロップサイアーランキングで2位となった。
この種牡馬を購買したバレナビスタファームのオーナーであるドナルド・コーン(Donald Cohn)氏はこう語った。「私は二冠馬アイルハヴアナザーを米国に連れ戻そうと本気で考えました。なぜなら、それは私がこれまでサラブレッド産業で行ったことの中で一番満足でき、最高のことであるように思えたからです。見事なお手本のような馬で、本物のチャンピオンです。カリフォルニア州でこれほどの馬を供用できるチャンスはこれまでありませんでした」。
ダグ・オニール(Doug O'Neill)調教師は、三冠達成のためにアイルハヴアナザーをベルモントパーク競馬場に輸送した。しかし同馬は"腱の断裂"と診断され、ベルモントS(G1)への出走は取り消され、すぐに引退が決定された。
オニール調教師はこう振り返った。「アイルハヴアナザーは勇猛果敢な馬でした。その競争本能、豊富なエネルギー、驚くべきストライド(完歩)で二冠を達成し、最優秀3歳牡馬に選ばれました」。
アイルハヴアナザーは、通算成績7戦5勝(2着1回)、獲得賞金269万3,600ドル(約3億976万円)で引退した。2歳シーズンでは7月3日にハリウッドパーク競馬場で未勝利戦を制し、ベストパルS(G2)ではクリエイティヴコーズ(Creative Cause)の2着となった。3歳シーズンではケンタッキーダービー(G1)とプリークネスS(G1)のほかに、サンタアニタダービー(G1)とロバートBルイスS(G2)も制して無敗を貫き、2012年最優秀3歳牡馬に選出された。
同馬は種牡馬として勝馬118頭を送り出し、その中には函館2歳S(G3)2着のウインジェルベーラ、アルテミスS(G3)3着のシグルーンがいる。
アイルハヴアナザーは、ケンタッキー州でハーヴェイ・クラーク(Harvey Clarke)氏により生産された。同馬の母アーチズギャルエディス(Arch's Gal Edith 父アーチ)の2代母はステークス3着内馬ラストコーズ(Last Cause)。ラストコーズの半姉ワンラストバード(One Last Bird)はスペンドスリフトファーム(Spendthrift Farm)のトップサイアーであるイントゥミスチーフ(Into Mischief)の3代母にあたる。
By Eric Mitchell
(1ドル=約115円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2012年No.30「アイルハヴアナザーは売却額1000万ドルでビッグレッドファームへ(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2018年11月6日「I'll Have Another Returns to U.S. from Japan」]