お金よりも勝つことに価値がある。これは、競馬場協会(Racecourse Association: RCA)が全国調教師連合会(National Trainers Federation:NTF)のメンバーである調教師に対して実施したアンケート調査の主要な結果である。このアンケート調査は、競馬場が調教師や馬主の満足度を向上させる際に役立ててもらうことを目的に実施された。
このアンケート調査は、調教師がどのレースに管理馬を出走させるかを決定する主な動機として、「そのレースで優勝する、もしくは3着内に入る能力」が「提供される賞金」を70対30で上回ったことを明らかにした。
RCAのサービス担当理事であるマシュー・テイラー(Matthew Taylor)氏は「管理馬を出走させる主な動機として、70%の調教師が、『レースで優勝する、もしくは3着内に入る能力』と答えた一方で、30%の調教師が『獲得できる賞金額』と答えました。賞金獲得の優先度が高くないことに驚きましたが、調教師は勝利を欲する真の勝負師です」と語った。
そして「賞金の重要性を過小評価するわけではありませんが、この調査結果は、調教師が勝利を望んでいることを示しています。それが馬主のためなのか、スタッフのためなのか、あるいは自らの評価を高めてビジネスを成功させるためなのかは分かりません」と付け加えた。
このアンケート調査の設問は次の4つのカテゴリーに分かれている。(1) 管理馬を出走させる動機、(2) 賞金、(3) 競馬場と馬場状態、(4) 競馬場のコミュニケーションと設備。
NTFのCEOルパート・アーノルド(Rupert Arnold)氏がRCAのマギー・カーヴァー(Maggie Carver)氏と話したことがきっかけで、このアンケート調査は実施された。アーノルド氏はこの結果を当然のこととして受け入れ、こう語った。
「このアンケート調査から得られた主な結論は、私たちの経験や調教師が指摘する出走計画に関する問題点と一致します」。
「馬主の考え方を反映して調教師の態度は変化してきました。"ハンデキャップ競走に行かないかぎり所有馬に勝ち目がない"という運命を馬主が受け入れる時代は過ぎ去りつつあります」。
「現役馬を所有して出走させるには、相当な資金が必要となります。それゆえ馬主は、所有馬がハンデキャップ競走に出走できるようになるまで賞金を獲得するチャンスがないという状況を望みません」。
「調教師が私に語ったところによると、馬主は情けない気持ちにさせられるようなレースに所有馬を出走させたがらないが、所有馬が健闘して多少の賞金を狙えるような感覚になれることを望んでいるようです」。
By Davis Jennings
[Racing Post 2018年11月30日「Winning more important than money to trainers」]