海外競馬ニュース 2019年04月18日 - No.15 - 4
スタウト調教師、"一流の馬"キングズベストの死を悼む(イギリス)[生産]

 サー・マイケル・スタウト調教師は、2000年英2000ギニー(G1)優勝馬で優秀な種牡馬だったキングズベスト(King's Best 父キングマンボ)が22歳で死んだという知らせを聞き、「一流の馬だった」と同馬を偲んだ。

 キングズベストの競走生活は短かったが輝かしいものだった。そのハイライトは、英2000ギニー(ニューマーケット競馬場)での茫然とさせられるようなパフォーマンスだった。

 スタウト調教師はこう語った。「キングズベストはこれまで手掛けた中でも才能あるマイラーでした。英2000ギニーでは見事な末脚で驚異的なパフォーマンスを成し遂げました。その後の愛ダービー(G1)で起こったことはとても残念なことでしたが、彼は一流の馬でした」。

 キングズベストは、ニューマーケット(ジュライコース)でのデビュー戦を勝利で飾った。その次のエークームS(L ヨーク)では全力で走って印象に残るような勝利を収めたが、2歳の最終戦となったデューハーストS(G1)ではディスタントミュージック(Distant Music)の5着(最下位)に敗れて振るわない成績でシーズンを終えた。

 かかり癖のあるキングズベストは3歳初戦のクレイヴンS(G3)でもかかってしまい、ユミスティム(Umistim)の2着となった。しかし英2000ギニーでは、キーレン・ファロン騎手の堂々とした騎乗ぶりにより、同馬のそのような癖はなりを潜めた。

 ファロン騎手はキングズベストを馬群の中で我慢させた。そして、抜け道を探り当てると一気に先頭に立ち、ジャイアンツコーズウェイを撃退して3 1/2馬身差の勝利を収めた。

 キングズベストはサイード・スハイル(Saeed Suhail)氏に所有された。その頃スハイル氏のレーシングマネージャーだったブルース・レイモンド(Bruce Raymond)氏は4月16日、同馬を手掛けたスタウト調教師の手腕を称賛してこう語った。

 「キングズベストはとても優秀な馬でした。サー・マイケル・スタウト調教師は、彼を管理するにあたり素晴らしい手腕を発揮しました。なぜなら、とても繊細で一筋縄ではいかない馬だったからです。その後、彼は本当に素晴らしい種牡馬となりました」。

 キングズベストが英2000ギニーで優勝した後に出走したのは愛ダービーだけである。6戦目となるこのレースの前半で、同馬は競走生活を終わらせることになる故障を発症し、競走を中止した。

 早い引退のため、キングズベストは競走馬としての本当の才能を見せなかった。しかし種牡馬としては、最高傑作となる2010年英ダービー&凱旋門賞優勝馬ワークフォースを送り出し、大成功を収めた。

 G1馬8頭を送り出したキングズベストは、ダーレーのためによく働いた。同馬は、アルゼンチン、豪州、フランス、アイルランド、そして種牡馬生活を引退することになる日本で供用された。ダーレージャパンに繋養されていたキングズベストは、疝痛による合併症のため安楽死措置が取られた。

キングズベストに関する数字

     年齢:22歳

     クラシック競走勝利:1勝

     通算成績:6戦3勝

     騎乗した騎手:3名(K・ファロン、G・スティーヴンス、P・エデリー)

     送り出したG1馬:8頭

     種牡馬として供用された国:5ヵ国

By David Baxter

[Racing Post 2019年4月16日「Stoute pays tribute to King's Best following Guineas hero's death aged 22」]