ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission:KHRC)は、ケンタッキーダービー(G1 5月4日)で1位入線馬マキシマムセキュリティ(Maximum Security)を降着とした裁決委員の決定についての不服申立てを退けた。
マキシマムセキュリティの馬主ゲイリー&メアリー・ウエスト(Gary and Mary West)夫妻の代理人であるレキシントンのバリー・スティルツ(Barry Stilz)弁護士は5月6日、KHRCのマーク・ギルフォイル(Marc Guilfoil)専務理事に対して不服申立てを行い、委員会での審問を要求した。その理由は「裁決委員の決定は恣意的で気まぐれであり関連ルールに則っていない。マキシマムセキュリティを降着とする決定は、実質的証拠によって裏付けられていない」というものである。
KHRCは数時間後、法務担当理事であるジョン・フォージー(John Forgy)氏がスティルツ弁護士に宛てた書簡の中で、この不服申立てを次のように却下した。
「裁決委員による降着決定は、不服申立てに左右されることはありません。不服申立てが法令により定められていないことから、不服申立てを行うことには現実的な意味がありません」。
この書簡は、ケンタッキー州の競馬界における免許付与条件として、すべての免許保有者はKHRCのルールと規制に従わなければならないと指摘している。また、「裁決委員の事実認定・決定は最終的なものであり、不服申立てによって左右されるものではない」というルールを引用した。
マキシマムセキュリティはケンタッキーダービーで1位入線したものの、裁決委員は同馬が最終コーナー付近でウォーオブウィル(War of Will)の走行を妨害し、その影響でロングレンジトディ(Long Range Toddy)とボーディエクスプレス(Bodexpress)も被害を受けたと判断した。22分にもわたる審議の末、ジョン・コート(Jon Court)騎手(ロングレンジトディに騎乗)とフラヴィアン・プラ(Flavien Prat)騎手(カントリーハウスに騎乗)の申立てを考慮した裁決が行われた。
裁決委員は、マキシマムセキュリティはカントリーハウス(繰上りによる最終的な優勝馬)の走行を妨害しなかったと判断した。しかし、他の3頭の走行を妨害したとして、被害馬ロングレンジトディの後ろに降着とし、その順位を17位とした。
書簡はこう続いていた。「裁決委員はレース入線直後の2つの申立てを考慮し、リプレイ映像を検討した結果、全員一致でマキシマムセキュリティを降着と判断しました。この決定は不服申立てに左右されません」。
馬主による不服申立てでは次の開示も要求している。① 裁決委員が判断を下す際に用いた全てのビデオアングル、② 騎手・調教師・その他関係者による発言の記録、③ 22分間の審議における裁決委員によるメモや記録。
By Frank Angst
[bloodhorse.com 2019年5月6日「KHRC Denies Appeal Request on Derby Disqualification」]