デヴィッド・アラン(David Allan)騎手はこの冬、"インド競馬史上最も成功した外国人騎手"として台頭している。数々の勝利の中でも、"インドのフランケル"の異名をとるサーセシル(Sir Cecil 父:日本馬ウインレジェンド)で達成したインド2000ギニー優勝が注目されている。この馬は、ニューマーケットの伝説的なトレーナー、故サー・ヘンリー・セシル調教師にちなんで名付けられた。
アラン騎手はサーセシルとともに、今年のインドダービー(2月3日 ムンバイ競馬場)に臨む。サーセシルはシャダクシャラ・パドマナブハン(Sadakshara Padmanabhan)調教師に管理され、これまでの成績は8戦8勝(うち地元G1・4勝)の無敗である。
サーセシルの一番の強敵は、アジュディケート(Adjudicate)である。同馬は運命のいたずらか、セシル夫人の息子であり故サー・ヘンリー・セシル調教師の継息子であるジェームズ・マキューン(James McKeown)調教師に管理されている。
アラン騎手は2018年、英国において自己最多の76勝を挙げ、獲得賞金が初めて100万ポンド(約1億4,000万円)を超えた。そして11月に10回目となる冬の短期騎乗のためにインドにやって来た。
同騎手はこう語った。「サーセシルは、インド2000ギニー(ムンバイ競馬場)を制したインド最強馬です。次はインドダービーに向かうでしょう。同馬はフランケルを手掛けたセシル調教師にちなんで名付けられた"インドのフランケル"であり、私もそう呼んでいます。どの馬も、圧倒的に強いサーセシルを負かすことを目標にしています」。
「サーセシル以外にもトップクラスの馬に騎乗させてもらっており、とても好調です。インドの騎乗スタイルは英国とは大変異なります。レース序盤に全速力で走り、油断のない騎乗をしなければなりません。さもなければ、最後に抜かれてしまいます。機敏にならざるをえません」。
アラン騎手は昨年、サンディ・バークレー(Sandy Barclay)騎手がインドで保持していた最多勝外国人騎手の座を奪った。また、インドでの生活を楽しみ、その国際的な努力は報われている。
同騎手はこう語った。「週2回ほど騎乗するために、さまざまな競馬場に足を運んでいますが、それ以外の日には朝調教の後に一番の趣味であるゴルフを楽しんでいます。ですから、とても幸せです!英国の冬のオールウェザーコースで騎乗するよりは良い経験ができますし、冬の間はインドにいるほうが経済的に有利です。それに、ティム・イースターバイ(Tim Easterby)調教師は冬の間あまり馬を出走させたがりません」。
この冬インドでは、アイルランド人騎手のレイ・ロッシュ(Leigh Roche)騎手やロビー・ダウニー(Robbie Downey)騎手も騎乗に精を出している。
アラン騎手は、英国で平地シーズンが始まる約1週間前にインドから帰国する予定である。そして、英国でバーレーントロフィーS(G3)優勝馬ウェルズファーゴー(Wells Farhh Go)などに乗ることを楽しみにしている。
アラン騎手はこう語った。「ウェルズファーゴーが英ダービー(G1)や英セントレジャー(G1)に出走できなかったのは残念なことでした。しかし彼の強みはスタミナですので、今シーズンは長距離レースに挑戦するかもしれません。彼が健闘することを願っています」。
アラン騎手は1月13日、アジュディケート(マキューン厩舎)でカルカッタダービーを制し、その日はちょうどセシル夫人が観戦に来ていた。
パドマナブハン調教師の助手を9年間務めたマキューン調教師は、こう語った。「サーセシルに不利な展開になれば、アジュディケートがインドダービーを楽勝するでしょう。しかし、サーセシルはこの20年間で最高のインド調教馬と言えるほど素晴らしい馬です」。
「サーセシルは圧倒的な強さですが、アジュディケートも成長しており、実力の差は縮まってきています」。
「サーセシルは牧場にいるときから傑出した馬になる気配があったのでしょう。そのため関係者たちはこの名前を選びました。本当は"サーヘンリー(Sir Henry)"と名付けたかったのでしょうが、その馬名はすでに使用されていました」。
By Jack Haynes
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2019年1月15日「David Allan and the unbeaten 'Indian Frankel' bidding for Derby glory」]