昨年と同じ優勝馬と2着馬だが、優勝馬の騎手は異なる。しかし、この優勝した一流短距離馬ブルーポイント(Blue Point 牡5歳)も関係者によれば、見違えるように変わった。
ブルーポイントのキングズスタンドS(G1 約1000m)連覇にはチームワークが鍵となった。ゴドルフィンの舞台裏にいるチームは、2018年にこのレースを制した後、状況があまりうまく好転しなかった時期を経て、この馬を最高の状態で出走させることができるように手を尽くしてきた。
検量室において、ウィリアム・ビュイック騎手は友人のジェームズ・ドイル騎手が駿足のブルーポイントを再度優勝に導くのを傍観者の立場から見ていた。2着は昨年同様バターシュ(Battaash)だったが、昨年3着のマブスクロス(Mabs Cross)はその座をソルジャーズコール(Soldier's Call)に譲って4着となり、昨年と全く同様の結果となることは避けられた。
ビュイック騎手は5月に落馬したときに脳震盪後症候群(post head-injury syndrome)を患い戦線離脱している。乗り替わったドイル騎手にお祝いの言葉をいち早く述べに来たビュイック騎手はこう語った。「もちろん騎乗したかったのですが、それは出来ませんでした。しかしチームが素晴らしい仕事をしました。それが最も重要なことです」。
「すべてが良い方向に向かうことを望んでいました。ジェームズは馬の走る気にまかせ、思い切った騎乗をしました。ブルーポイントは昨年と同様に実力を示しました。追い上げてくる馬を引き離してバターシュを撃退しました」。
ドイル騎手は2017年にスプリントカップS(G1 ヘイドック)で4着となって以来、ブルーポイントには騎乗していなかった。そしてこう語った。「ウィリアムは優良馬が素晴らしいパフォーマンスをしているのを見て歯がゆい思いをしているでしょう。しかし、親友がそれらの馬に乗っていることで、そのもどかしさが和らげられるだろうと思います。彼はいち早くお祝いを言いに来てくれました。間もなく復帰するでしょう。それが一番肝心なことです」。
ブルーポイントはドバイで3勝してから、英国に戻ってきて、今年は4戦4勝を果たしている。
チャーリー・アップルビー調教師はこう語った。「この2年間、彼のエネルギーを蓄え、出走する時が来たら確実に炸裂させるようにしなければなりませんでした。冬の間、彼は心身ともに成熟しました。厩舎のチームはうまくこの馬を手掛けてくれて素晴らしい仕事をしました」。
「ブルーポイントは強くなりました。ウィリアムはドバイで初めて騎乗した後に下馬してから、"これまでとは全く違う馬だ。まったくの完成品だ"と言いました」。
「私は素晴らしいチームに恵まれています。このような良好な状態でブルーポイントを走らせることができたのは、見事なチームワークがあってこそです」。
ゴドルフィンでさえも天気を変えることはできない。この日降りしきる雨はわずかな不安をもたらした。
同調教師はこう続けた。「馬場状態を少し気にしていましたが、今ではいくらでも雨が降ってくれればいいと思っています。優秀なスポーツ選手と同様に、私たちは彼に長々ときつい調教を施したくはありませんが、それが彼にとって日常的になっていると感じました」。
優勝馬主のモハメド殿下はこう語った。「大変喜んでいます。G1を勝つのはとても嬉しいです。ブルーポイントは冬の間ドバイにいて、あちらの気候が寄与しました。一層強くなってここに戻って来ました。ロイヤルアスコット開催で優勝馬を出せるのは素晴らしいことです。誰もがこの開催に馬を出走させたがっています」。
バターシュはキングジョージS(G2 グッドウッド)の連覇を目指すだろう。チャーリー・ヒルズ(Charlie Hills)調教師は、バターシュはこの厳しい5ハロン(約1000m)の競走で、先頭に立っていた優勝馬に圧倒されたと考えている。
ホーツェン(Houtzen)は豪州からはるばる遠征してきたにもかかわらず、発走時に躓くという不運を経験することになった。ケリン・マカヴォイ(Kerrin McEvoy)騎手はすぐに体勢を整えその後全力を尽くしたが、最終的には8着に終わった。
By David Carr
[Racing Post 2019年6月18日「Deja vu as Blue Point holds off Battaash for back-to-back wins in King's Stand」]