海外競馬ニュース 2019年07月11日 - No.26 - 3
ハンターバレーの種馬場、ヘンドラウイルス感染症への対策強化(オーストラリア)[獣医・診療]

 生産者たちは繁殖牝馬に対して、命に関わる危険性のあるヘンドラウイルス(HeV)のワクチンを接種させなければならない。ハンターバレーの以下の一流種馬場が方針転換を行い、2019年繁殖シーズン中に人馬の健康を守るために生産者に対して繁殖牝馬へのヘンドラウイルスのワクチン接種を要求している。

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 これらの種馬場は7月1日夜、この方針転換について説明する共同声明を出した。新たな方針は今後無期限で適用される。

 6月上旬にスコーンの近くで25歳の繁殖牝馬にヘンドラウイルス感染症が確認されたことを受け、この対策は取られた。ハンターバレーでこの感染症が確認されたのは初めてだった。

 ハンターサラブレッド生産者協会(Hunter Thoroughbred Breeders Association)の会長であるキャメロン・コリンズ(Cameron Collins)博士はこう語った。「サラブレッド産業の人馬の健康を守るというのが動機となっています。ワクチン接種を実施するにあたり、生産者は獣医師の協力や助言を得ることができます」。

 ニューサウスウェールズ州の優良牝馬を繋養する以下の一流牧場は、この方針を支持し、すでに馬にワクチンを接種させたか、その過程にある。

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 以下の3つの獣医診療所も、供用馬全頭にワクチン接種を行い、訪れてくる繁殖牝馬にも同じ措置を要求する種馬場の決定を支持する声明を出した。

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 その声明にはこう記されている。「獣医診療所は、診療所スタッフ・厩舎スタッフ・一般の人々がヘンドラウイルスに感染している可能性のある馬と接してこのウイルスに晒されるリスクをゼロにする法的責任を負っています」。

 「この義務は、獣医診療所内と牧場内のいずれに対しても課されます。獣医診療所は、ヘンドラウイルス感染症が発生してからこの方法で運営を行ってきました。それでも、ハンターバレーで最近ヘンドラウイルス感染症の症状が確認されたことから、命にかかわるかもしれない珍しい感染症への警戒レベルを高めることにしました」。

 また、この声明は生産者たちに対し、いくつかの馬保険ではヘンドラウイルス感染症についての免責条項があることについて注意喚起した。

 「馬主と牧場マネージャーは、保険の条項の文言について気を付けなければなりません。ヘンドラウイルスの除外診断の結果を待っているワクチン未接種馬は、保険の条項がどのようなものかに関係なく、獣医診療所に入ることはできません」。

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By Tim Rowe of ANZ Bloodstock News

[Racing Post 2019年7月2日「Leading stud farms take stance against deadly Hendra virus」]