ザック・パートン騎手(36歳)は3回目のリーディングタイトルを獲得した。ただし、2018-19年シーズン閉幕日(7月14日)にシャティン競馬場で2勝を挙げたものの、ジョアン・モレイラ騎手が2016-17年シーズンに樹立していた1シーズン最多勝記録の170勝には2勝足りなかった。
パートン騎手はこの日(全11レース)、10レースに騎乗した。モレイラ騎手の記録に並ぶにはあと4勝、記録更新にはあと5勝が必要とされていた。
豪州出身のパートン騎手はこの日、ハンデ戦(1800m)をアバーヴ(Above ジョン・ムーア厩舎)で楽勝し、完璧な滑り出しを見せた。
しかしその後、いずれも1番人気のアドニス(Adonis)とブリーズオブスプリング(Breeze Of Spring)で敗れ、さらにスーパーキン(Super Kin)でも勝てず、マイウィナー(My Winner)ではゴール直前で差されて悔しい敗北を喫した。
ディファイニングモーメント(Defining Moment)で勝利を果たすことができ、パートン騎手は失望から立ち直ったが、その後再び優勝することはなかった。
パートン騎手は今シーズン、香港で2人目の1,000勝騎手となり、G1・7勝を果たして、過去最高の2億3,490万香港ドル(約32億8,860万円)もの賞金を獲得した。モレイラ騎手の記録に並ぶことができなくとも、このシーズンは色褪せることはない。
同騎手はこう語った。「今シーズン数々の快挙を成し遂げられたことに驚いています。これほど多くの勝利を収めることができるとは、誰も想像していなかったと思います」。
「達成できた目標・記録・成功を振り返れば、信じられないほど素晴らしいシーズンでした。まったく驚嘆すべきものであり、もう一度同じことを繰り返したり、これに勝る成績を収めたりするのは極めて難しいです」。
「支援してくださった馬主、調教師の方々のおかげです。さまざまな理由から、いつまでも記憶に残るシーズンとなるでしょう。このシーズンが永遠に続くとしても悪くないですね」。
このシーズン最終日にはもう1つの大きなニュースがあった。ジョン・サイズ調教師がジョン・ムーア調教師の挑戦を退けて11回目のリーディングトレーナーのタイトルを獲得したのだ。
この日はサイズ調教師が2勝上回っている状況で始まったが、第1レースでムーア調教師が管理するアバーヴが優勝したことで、その差はただちに半分となった。
しかし、サイズ調教師の管理馬、モンキージュエリー(Monkey Jewellery)が勝利を挙げ、その後エアロハピネス(Aerohappiness)がムーア調教師のハロービューティー(Hello Beauty)を負かして優勝したことで勝鞍は78に上り、ムーア調教師に3勝差をつけた勝利は確実となった。
サイズ調教師は、ジョン・ムーア調教師の父ジョージ・ムーア元調教師の記録に並んだ。そしてこう語った。「勝てて大変安心しました。この目標を達成するのは決して簡単なことではなく、断固とした意思を持って前に進み続けなければなりません。厩舎のすべての人々のために最善を尽くすことで、やっとリーディングタイトルが取れるのかもしれません」。
「やる気には値段を付けられません。しかし、勝利を収めることで、厩舎全体の士気は高まります。現在のチームとは長年一緒に働いてきました。彼らは勝つためには何が関係しているかを心得ており、取り組み続ければうまく行くことを分かっています」。
優秀なマイル馬ビューティージェネレーション(Beauty Generation)を管理し、これまでリーディングタイトルを7回獲得してきたムーア調教師は、タイトルを手にできなかったものの全く落ち込んでいなかった。
香港ジョッキークラブ(HKJC)が定めた年齢に関するルールのために来シーズンで引退する69歳のムーア調教師はこう語った。「今シーズンは自己最多の勝馬を送り出しました。ジョンと競い合ったのは本当に素晴らしく、互角の戦いができましたが、相手が手ごわかったです」。
「ジョンに照準を定めていたばっかりに、とんでもない勝率を達成することができました。最後のレースまで勝負がもつれれば良かったのですが。ジョンにお祝いを言いたいと思います」。
By Matt Butler
(1香港ドル=約14円)
[Racing Post 2019年7月14日「Purton fails in record bid and Size is crowned champion trainer on final day」]