ディープインパクトの死は、日本の生産界に大きな穴を残した。スポーツの舞台からカリスマが消えるとき、その代わりは出てくるが、それと認識するのには時間が掛かるものである。
吉田ファミリーは1990年代前半、サンデーサイレンスを輸入し、社台スタリオンステーションで供用した。同馬は日本の生産シーンの全体像を変化させた。そして、産駒のディープインパクトがその役割を引き継いだ。
2018年の日本のサイアーランキング(産駒獲得賞金別)のトップ10のうち、首位のディープインパクトのほかにサンデーサイレンス産駒は4頭いる。ただし、産駒獲得賞金はディープインパクトの半分にすぎない。
2位のキングカメハメハにわずかに及ばず3位となったハーツクライ(父サンデーサイレンス)は、有馬記念(G1)でディープインパクトに土をつけた(ディープインパクトは現役時代に2敗しか喫していない)。また、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)で3着となっている。
ハーツクライも社台スタリオンステーションで供用されており、ウッドワードS(G1)とターフクラシックS(G1)の優勝馬ヨシダ(Yoshida)や、ジャパンカップ(G1)優勝馬シュヴァルグランなど、多くの優秀な産駒を出している。ただし、ディープインパクトよりも1つ年上の18歳である。
2014年ドバイデューティフリー(G1)で圧勝したジャスタウェイ(父ハーツクライ)は、初年度産駒からケンタッキーダービー(G1)出走馬マスターフェンサーを出しており、いくらか将来性を見せている。
同様に、ダイワメジャー(父サンデーサイレンス)をその父の代わりとして選ぶ生産者もいる。ダイワメジャーは2歳で勝利を挙げる多数の産駒を送り出しているが、ハーツクライと同じ18歳である。
そのため、ディープインパクト産駒が父の栄光を継ぐ種牡馬として浮上してくるかもしれないが、良血である若きディープインパクト産駒の種牡馬生活は始まったばかりである。ただしファーストクロップサイアーとして徐々に評価を高めている産駒はいる。
日本ダービー(G1)とニエル賞(G2)を制し、2013年凱旋門賞(G1)でトレヴの4着となったキズナは、ストームキャットの牝馬キャットクイル(Catequil)を母とする。キズナはこれまで4頭の勝馬を送り出している。その中には、最近函館2歳ステークス(G3)を制したビアンフェが含まれる。
リアルインパクトは、勝馬8頭を送り出している。同馬は現役時代に豪州のジョージライダーS(G1)を制しており、香港のクイーンエリザベス2世カップ(G1)を制したネオリアリズム(父ネオユニヴァース)は同馬の半弟である。
一層若いディープインパクト産駒の優れた能力を評価するには、さらに長く待たなければならないだろう。今年社台で種付生活を始めたばかりのリアルスティールは、競走馬としてドバイターフ(G1)優勝など数々の好成績を収め、名牝ミエスクを3代母とするので、すべてが順調に進むはずだ。
ディープインパクト産駒でこれまで最高賞金を稼いだサトノダイヤモンドも、今年の初年度種牡馬である。同馬は2017年凱旋門賞で精彩に欠き、エネイブルの15着に敗れた。
欧州で最も知名度が高いディープインパクト産駒は、英2000ギニー(G1)で制したサクソンウォリアーである。今年からクールモアにおいて種付料3万ポンド(約390万円)で供用されている同馬が才能を見せることも期待されている。
By Tom Peacock
(1ポンド=約130円)