吉田照哉氏の社台ファームは、ブリックスアンドモルタル(Bricks and Mortar 父ジャイアンツコーズウェイ)の現役引退後の所有権を購買した。同馬はG1・3勝を挙げており、今シーズンは無敗である。獲得賞金は430万ドル(約4億5,150万円)に上る。この取引をまとめたのは、馬売買仲介者のユージェニオ・コロンボ(Eugenio Colombo)氏である。
コロンボ氏は本誌(ブラッドホース誌)に対してこう語った。「ブリックスアンドモルタルの父が優秀な種牡馬を送り出しているジャイアンツコーズウェイであることは、大変期待できる要素です。素晴らしい馬です。見事な馬格と能力を持ち、すべてを兼ね揃えています」。
ブリックスアンドモルタルはこれまでの馬主(クララヴィッチステーブル&ウィリアム・ローレンス氏)のもと、米国で出走を続ける。ブリーダーズカップに挑戦することが見込まれており、その後、日本の社台ファームに輸送されるだろう。
ブリックスアンドモルタルはジョージ・ストローブリッジJr.(George Strawbridge Jr.)氏により生産された。母ビヨンドザウェーブス(Beyond the Waves 父オーシャンクレスト)にとって5頭目のブラックタイプ勝馬である。ビヨンドザウェーブス(重賞3着内・ステークス勝馬)は、ほかに次のような仔を送り出している。
・ G3勝馬エメラルドビーチ(Emerald Beech 父マリアズモン)
・ ステークス勝馬ビヨンドスマート(Beyond Smart 父スマートストライク)
・ G3・3着内馬サーエクター(Sir Ector 父ダイナフォーマー)
・ リステッド3着内馬ウォータービュー(Water View 父ペションヴィル)
ブリックスアンドモルタルは2015年キーンランド9月1歳セールに上場された[コンサイナーはストーンファーム]。同馬はオークスブラフパートナーズ(Oaks Bluff Partners)の名前のもと、20万ドル(約2,100万円)で購買され、ブラウン調教師に預けられた。その後、馬主名義はクララヴィッチステーブル&ウィリアム・ローレンス氏とされた。
ブリックスアンドモルタルはデビューから4戦目までを全勝し、すぐにその周囲の人々の高い期待に応えた。しかし2017年の後半、後肢に跛行を発症し、重大な手術を要するほどその症状は悪化した。その手術の成功の見込みは五分五分だった。馬主たちは思い切って著名な獣医師ラリー・ブラムラージ(Larry Bramlage)博士に手術を依頼し、その後期待を上回る回復を見せてすべてが報われた。
ブラウン調教師はブリックスアンドモルタルが6月8日のマンハッタンS(芝G1 ベルモントパーク)を制したときに、本誌に対してこう語った。「ストーンストリート(Stonestreet フロリダ州オカラ)のイアン・ブレナン(Ian Brennan)氏とそのスタッフは、ブリックスアンドモルタルが若馬のときに馴致を行い、負傷するたびにリハビリを行ってきました。彼らは素晴らしい仕事をしてきました。この馬はもう復帰できないかもしれないと考えたことが一度ありましたが、イアンとそのスタッフが本当に多くの時間を費やしてくれて、苦難を乗り切ることができました。イアンは最終的に彼を送り返してきたときに、"仕上がっています。この馬はこれまでよりも強くなっています"と言いました」。
マンハッタンS優勝はブリックスアンドモルタルにとって今シーズンの重賞4勝目であり、復帰戦となった12月22日のアローワンス選択クレーミング競走(ガルフストリームパーク)での優勝を含むと5連勝を果たしている。現在5歳のブリックスアンドモルタルは、今年初戦の総賞金700万ドル(約7億3,500万円)のペガサスワールドカップターフ(芝G1 ガルフストリームパーク)を制し、華々しく2019年シーズンを始めていた。その後、ムニスメモリアルH(芝G2)、オールドフォレスタークラシックS(芝G1)、そしてマンハッタンSを立て続けに制した。
ブリックスアンドモルタルは今年これまで、ロンジンワールドベストレースホースランキングでレーティング120を獲得している。
次走は8月10日のアーリントンミリオン(芝G1 アーリントンインターナショナル)となるだろう。同馬はこの芝約2000mのレースで、現在のところ単勝2.6倍の1番人気とされている[訳注:ブリックスアンドモルタルはマジックワンド(Magic Wand)を¾馬身退けてアーリントンミリオンを制した]。
By Eric Mitchell
(1ドル=約105円)
[bloodhorse.com 2019年8月7日「Shadai Buys Breeding Rights to Bricks and Mortar」]