米国ジョッキークラブ理事会は、サラブレッドの遺伝子プールの多様性が減少していることに懸念を抱いている。そのため9月6日(金)、2021年種付シーズンから年間種付頭数を制限するルールの採用を検討していると発表した。
1894年創立の米国ジョッキークラブは、アメリカ血統書の管理者である。また、サラブレッドの血統の健全性を確かなものとするために"アメリカ血統書の主要登録規程および要件(Principal Rules and Requirements of The American Stud Book)"を維持している。北米における生産頭数は2007年に3万7,499頭だったが2020年には2万500頭と推定されており、その規模はかなり縮小している。
2007年に140頭以上に種付けを行った種牡馬は、全種牡馬3,865頭のうち37頭と報告されている。2010年にその数は24頭まで減少した。しかし現在では、全種牡馬数が2007年の半分以下となっているにもかかわらず、140頭以上に種付けを行った種牡馬は43頭に上っている。
繁殖牝馬に関しては、種付頭数140頭以上の種牡馬と交配した繁殖牝馬は、2007年は5,894頭(全体の9.5%)だったが、2019年には7,415頭(全体の27%)となった。割合としては約3倍となっている。
このような変化が重なり合うことで、一部少数の種牡馬が送り出した産駒の割合がかなり大きくなるという結果がもたらされている。すなわち、遺伝子プールにおいて懸念すべき集中化が生じている。
米国ジョッキークラブ理事会は、北米の種牡馬の年間種付頭数の上限を140頭とし、以下のとおり段階的に実施することを検討している。
・ 2020年供用初年度種牡馬は、2024年種付シーズンから種付頭数の上限を140頭とする。
・ 2019年供用初年度種牡馬は、2023年種付シーズンから種付頭数の上限を140頭とする。
・ 2018年供用初年度種牡馬は、2022年種付シーズンから種付頭数の上限を140頭とする。
・ 2017年あるいはそれ以前に供用され始めた種牡馬は、2021年1月1日から種付頭数の上限を140頭とする。
ジョッキークラブ理事会は、サラブレッドの遺伝子プールの多様性の減少とその要因、そしてそれにより今後起こりうる影響についての研究を継続する。一層多くのデータ・分析が利用可能になることで、理事会はジョッキークラブの血統の健全性を保護する方針を再検討するかもしれない。
ジョッキークラブは、この提案中のルールについて、生産者・馬主・その他サラブレッドの血統や産業に関心を持つ人々からの意見を求めている。ジョッキークラブのウェブサイトにおいて、それらの意見は受け付けられている(jockeyclub.com)。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2019年9月6日「The Jockey Club Exploring Book Size Limits」]