ニエル賞(G2):ソットサス(Sottsass)が優勝
ソットサスとクリスチャン・デムーロ騎手は、ペースメーカーのヴェロネージ(Veronesi)の後ろに控えて大きく消耗させられるかもしれないトラップを免れ、最終的にニエル賞(9月15日 パリロンシャン)を快勝した。
過去の凱旋門賞トライアルについて数々の思い出を持ち合わせている人々は、このソットサスの姿をパントルセレブル(Peintre Celebre)に重ね合わせたことだろう。パントルセレブルは22年前のニエル賞で単勝1倍台に推されていたが、同じような状況に陥り敗北した。それでも同馬は、3週間後の凱旋門賞で他馬を撃退し圧勝を決めた。
パディパワー社は仏ダービー馬ソットサスの凱旋門賞での単勝オッズを8倍のままとしている。しかし、勝ち時計2分27秒46は過去15年間のニエル賞の中で4番目に速いタイムであり、35分前に施行されたヴェルメイユ賞(G1)でスターキャッチャー(Star Catcher)が出した勝ち時計をわずかに上回るものだった。
ジャン-クロード・ルジェ調教師はこう語った。「トライアルレースですので、負けたとしてもそれほど悲観するものではなかったでしょう。もちろん勝ったほうが良いのですが。心配な要素はソットサスが速いタイムを出したことで、率直に言えば、それを望んでいませんでした。しかし、ソットサスは内埒沿いで他馬に包まれながらもうまく抜け出しました。つまり、わずかな労力で勝てたということです。最後の150mでは素晴らしい脚を見せつけました」。
同調教師はこう付言した。「必ずしも楽なレースではありませんでした。強敵揃いではなかったかもしれませんが、それがすべてを物語っているわけではありません。長い休養を経て勝たなければならないというプレッシャーはありましたが、今後3週間はあっというまに過ぎてしまうので労力を最低限に抑える必要がありました」。
フォワ賞(G2):ヴァルトガイスト(Waldgeist)が楽勝
凱旋門賞トライアルによって凱旋門賞の出走馬確定前オッズには大きな変動が生じることはあるが、ヴァルトガイストがフォワ賞(9月15日 パリロンシャン)で見せた以上の卓越性は見せられるものではないだろう。同馬は3頭のライバル馬を撃退し、ゴール板をキャンターで駆け抜け、2馬身差の勝利を収めたのだ。
ウェイトゥパリス(Way To Paris)が2着となり、日本からの参戦馬キセキがクリストフ・スミヨン騎手を背にその1馬身差の3着となった。
多くのブックメーカーはヴァルトガイストの単勝オッズをこれまでの15倍から13倍に下げ、エネイブルの史上初の凱旋門賞三連覇に1.8倍のオッズを付けている。
ヴァルトガイストの共同馬主であるディートリヒ・フォン・ボエティッヒャー(Dietrich von Boetticher)氏はこう語った。「年齢とともに進化して能力が低下することのない馬です。まぐれの勝利とは無縁な馬を所有できるのは恵まれています。ヴァルトガイストが落着き払って楽勝を決めたのを見て大変喜んでいます。彼にとっては素晴らしい練習となりました。次のチャレンジに向けて準備は万端です」。
パディパワー社はキセキのパフォーマンスを受けて、同馬の凱旋門賞での単勝オッズを41倍から101倍に上げた。角居勝彦厩舎の同馬が凱旋門賞の有力馬として名乗りを上げるには、フォワ賞でヴォルトガイストと張り合う必要があった。
角居調教師はパリロンシャンでのリハーサルで同馬が見せたパフォーマンスについて、ブックメーカーよりもずっと楽観的な見方をしていた。
同調教師は、「キセキは馬場によく対応しました。ここでレースを経験して、ロンシャンの環境にも馴染むことができました。しばらく休ませてから、凱旋門賞に向けて仕上げていきます。次は逃げ馬の後ろに控えてからリードする形をとりたいと思っています」と語った。
By Scott Burton
[Racing Post 2019年9月15日「Sottsass survives scare in Niel to cement his place as France's leading hope」]