馬主協会(Racehorse Owners Association:ROA)とBHA(英国競馬統轄機構)は、シュプリームホースレーシングクラブ(Supreme Horse Racing Club 以下シュプリーム)の破綻が注目を集めたことを受けて、シンジケートを通じた馬の所有権の購買に人々が信頼を持てるようにする取組みを実施していることを強調した。
過去1年間にEPDSレーシング(EPDS Racing)やレイジーレーシング(Layezy Racing)が財務問題に見舞われたが、シュプリームはシンジケートが困難に陥った直近の例である。HRI(ホースレーシングアイルランド)はシュプリームの馬主登録を取り消している。
競馬界の団体間ではすでに共同研究が進められており、豪州型モデルが取り入れられる可能性がある。豪州型モデルでは、シンジケートマネージャーには免許が付与され、シンジケートは集団投資スキーム(出資者の資金をプールし、これを専門家が運用・管理する仕組み)に分類されている。
ROAのCEOチャーリー・リヴァートン(Charlie Liverton)氏は11月15日、こう語った。「会合は続いており、競馬産業の利害関係者がそれに参加しています。シンジケートを通じて馬の所有権を購買しようとしている人々にいかにして安心をもたらすかを中心に話し合われています」。
「私たちは豪州を模範例としてきました。豪州でシンジケートマネージャーとなるためには、英国の金融行為規制機構(Financial Conduct Authority)と同等の機関から免許を付与されなければなりません。その観点から、シンジケートは集団投資スキームと考えられているので、高い透明性と安心感があります。私たちはシンジケートの運営方法についての信頼を高めたいと考えており、これは1つの可能な方法です」。
HRIは11月14日、シュプリームの破綻から明らかになった情報をBHAと共有するという声明を出した。シュプリームのマネージャーは、チェルトナムゴールドカップ(G1)の本命馬ケンボーイ(Kemboy)などの馬の所有権を過剰に売却したとの嫌疑をかけられている。
BHAはシンジケートに関する一層厳格な規制を調査している。なぜなら、この分野は馬主となる手段として成長しており、2,135のシンジケートがBHAに登録されているからである。
これらのシンジケートは馬主の20%を占め、今年前半の統計では平均10口で1頭を所有している。
BHAのスポークスマンは11月15日、こう語った。「シンジケートで馬の所有権を購買することは、馬主になることを楽しむための手頃で面白い方法です」。
「シンジケートの運営者は誰もがBHAに登録しなければならず、行動規範(2017年導入)を順守することを確認しなければなりません。苦情はほとんどなく、あったとしても通常すぐに解決します」。
「しかし、ポピュラーになりつつあるシンジケートがどのように規制されるべきかを検討することを計画しています。人々がシンジケートとその経営状態を信頼することはとても重要です」。
「これを達成するには様々な方法があります。申請手順においてマネージャー志望者のシンジケート運営能力の評価レベルを引き上げることも1つの選択肢です。BHAは世界中の競馬統轄機関と緊密に連携して、このような問題について話し合っています」。
シュプリームの破綻のような事件からもたらされるネガティブな側面があるにもかかわらず、シンジケートは多くの人々に馬主としての素晴らしい体験を提供しており、競馬界がこれからもプロモートすべき分野であると、リヴァートン氏は考えている。
同氏はこう付言した。「現在のところ、シンジケートの発展により、多くの良いことがもたらされていると考えています。有能なシンジケートマネージャーは沢山いて、競馬場の内外で貴重な体験を提供しています」。
「調教師を通じたシンジケートの成長を目にするのも素晴らしいことです。シンジケートは競馬界が誇るべきものであり、馬主気分を味わいたい人々に対してプロモートし、アクセスしやすくなるように検討すべきです」。
By Peter Scargill
[Racing Post 2019年11月16日「Maintaining confidence in syndicates is crucial says BHA after Supreme collapse」]