英国スポーツ界でフランキー・デットーリ騎手ほど大きな存在は他にいないが、同騎手は権威あるBBC年度代表スポーツ選手(BBC Sports Personality of the Year)の候補者リストに入らなかった。
"BBC年度代表スポーツ選手"という賞の名前はやや不適切で、実際には、その人物のスポーツでの功績に対して贈られる名誉である。それだけに基づけば、デットーリ騎手が一般の人々が投票できる候補として選ばれなかったことは意外であり、非常にがっかりさせられる。
過去において、本紙(レーシングポスト紙)のこのコラムは主に、欠点をあげつらう人々からこの賞を擁護してきた。競馬ファンは大抵、競馬に幅広い魅力があると考えており、競馬界のスターの功績が認められなかった時に見当違いな憤慨を表明することがよくあった。しかし今回については、少しぐらい憤慨を表明するのが妥当だろう。
デットーリ騎手はイタリア人だが、英国を拠点とするスポーツマンとしてこの賞を受ける資格がある。1996年には"マグニフィセント・セブン(アスコット競馬場での7戦全勝)"を達成した3ヵ月後に、この賞で3位となっている。それから同騎手は表彰台を逃し続けているが、48歳にして騎手生活で最高の活躍を見せた今年は候補に入るのが当然だった。
今年のBBC年度代表スポーツ選手の候補者はわずか6名である。中でも、2019年クリケット・ワールドカップの英雄ベン・ストークス(Ben Stokes)選手が最有力候補であり受賞は間違いないとされている。他には、ディナ・アッシャー-スミス選手(短距離走)、カタリーナ・ジョンソン-トンプソン選手(陸上七種競技)、ルイス・ハミルトン選手(F1)、ラヒーム・スターリング選手(サッカー)、アラン・ウィン・ジョーンズ選手(ラグビー)が候補として名を連ねている。とりわけこのように最終候補者があまり多くない年において、デットーリ騎手は候補となるのにふさわしかっただろう。
デットーリ騎手の不在は、競馬界にいくらかの自己分析と反省を促すかもしれない。しかし今回、競馬界のスーパースターがBBC年度代表スポーツ選手の候補に選ばれなかったのは、選考委員会がふさわしい仕事をしなかった嘆かわしい失敗として受け止められるべきではなかろうか。
By Lee Mottershead
[Racing Post 2019年12月2日「Dettori SPOTY omission is serious faillure」]