海外競馬ニュース 2019年02月07日 - No.5 - 3
2018年のアイルランドのセリ売上げ、前年より8%減少(アイルランド)[生産]

 ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)の2018年サラブレッド産業統計によれば、新規馬主と現役馬、それに競馬場の入場者数も増加している。しかしよく見ると、全てが順調ではないことが分かる。

 アイルランドのセリ売上げは、前年の1億7,560万ユーロ(約219億5,000万円)から8%減の1億6,150万ユーロ(約201億8,750万円)となり、この9年間で初めて減少した。

 HRIは、「サラブレッドのセリは、大きな利益を上げた近年のペースを保つのに苦心しました。またブレキジット(英国のEU離脱)が生み出す不確実性は投資に悪影響を及ぼしました」と述べた。

 1年を通じて市場の二極化が進み、低価格馬の売り手がなんとか取引をまとめようとしたことも、売上げ減少の要因の1つである。

 ゴフス社(Goffs)のCEOヘンリー・ビービー(Henry Beeby)氏は、秋の1歳セールの後に2018年の市場の健全性について懸念を表明した一人である。「ブレキジットによる不確実性もしくは脅威がどれだけ影響するかは、誰も推測できません。私たちはこれに関連した不確実性にうんざりしていますが、再び需給のバランスが取れなくなるのは間違いありません」と同氏は語った。

 2018年に伸び悩んだのは国内市場だけではない。海外のセリで上場された愛国産のサラブレッドの売上総額も、前年の2億6,810万ユーロ(約335億1,250万円)から2%減の2億6,310万ユーロ(約328億8,750万円)となった。

 HRIのCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏はこう語った。「愛国産の障害競走馬の売上げは2018年に再び成長し、前年比3%増でした。2018年のセリシーズンはとりわけ平地競走馬を上場する売り手にとって非常に困難な状況でした」。

 「2017年にはあらゆる部門のセリで売上げが伸びましたが、2018年にはそれが下降に転じました。また数々の要因の中でも最も大きいのは、ブレキジットによる不確実性です」。

 しかし、2018年はすべてが悲観的なわけではなかった。賞金不足は新しい投資を引き付ける上での障害としてよく引き合いに出されるが、生産者と売り手はアイルランドの賞金総額が前年の6,110万ユーロ(約76億3,750万円)から4%増の6,350万ユーロ(約79億3,750万円)となったことを歓迎しただろう。

 愛国産サラブレッドの売り手にとって、新たな市場も生まれた。愛国産馬が購買された国は、31ヵ国から33ヵ国に増加した。

 カヴァナー氏はこう付言した。「勇気づけられることに、愛国産馬が輸出されてセリで購買される国が33ヵ国に増えたことで、世界の購買者にとって愛国産馬の魅力が高まっていることが確認されました。これは世界的に愛国産馬の質と卓越性が評価されていることを示しています」。

By Ollie O'Donoghue

(1ユーロ=約125円)

[Racing Post 2019年1月31日「Sales turnover in Ireland falls by eight per cent during challenging 2018」]