ゴールデンスリッパーS(G1)優勝馬セブリング(Sebring 13歳)は2月23日、心臓発作で急死した。ウィデンスタッド(Widden Stud)は、トップクラスの種牡馬で、豪州で最高の実績を持つモアザンレディ産駒を失った。
スターサラブレッズ(Star Thoroughbreds)に所有されたセブリングは、ガイ・ウォーターハウス(Gai Waterhouse)調教師に管理され、2008年ゴールデンスリッパーS(芝1200m)を制した。
2009年にウィデンスタッドで種牡馬入りしたセブリングは、ステークス勝馬51頭を送り出している。その中にはG1・5勝のディシデント(Dissident)、G1・4勝のクライテリオン(Criterion)がいる。そしてアンフィトリテ(Amphitrite)が今シーズンのMRC1000ギニー(G1)を制している
ウィデンスタッドの経営者であるアントニー・トンプソン(Antony Thompson)氏はこう語った。
「セブリングは競走馬としても種牡馬としても生涯に一度出会えるかどうかの馬です。私たちの人生を変えました。ウィデンスタッドで彼を供用できたことはとても光栄でした。種牡馬セブリングを支援し、成功するチャンスを与えて下さった皆様に大変感謝しています。若い牡駒を優良種牡馬に進化させることができたのは、生産者の皆様のおかげです」。
セブリングは、ジョージ・アルトモンテ(George Altomonte)氏のコランバーンスタッド(Corumbene Stud)で生産された。同馬は種牡馬として、勝馬95頭を送り出し、その獲得賞金は599万5,980豪ドル(約4億7,968万円)に上り、現在豪州総合種牡馬ランキング(産駒獲得賞金による)で7位に入っている。2015年にはこのランキングでファストネットロック(Fastnet Rock)とエクシードアンドエクセル(Exceed And Excel)に次ぐ3位となり、自己最高の地位を獲得した。
2012-13年シーズンのファーストクロップサイアーズランキング(産駒獲得賞金による)では、同じ牧場で供用されているノーザンミーティア(Northern Meteor)の3位となった。トッドマンS(G2)優勝馬クライテリオンを筆頭に16頭の勝馬を送り出した。
セブリングはわずか6戦しかしなかったが、5勝を挙げた。2008年にはゴールデンスリッパーSとサイアーズプロデュースSを制している。そして、シャンペンS(G1)で優秀な牝馬サマンサミス(Samantha Miss)の2着となり、これが唯一の敗戦となった。なお、セブリングはサイアーズプロデュースSではサマンサミスを下していた。
同馬が3歳シーズンに公に姿を見せたのは、2009年1月にランドウィックのバリアトライアル(模擬レース)で2着になったときだけである。
トンプソン氏はこう語った。「セブリングは楽しく、元気いっぱいで、遊ぶのが大好きな馬でした。彼のそういう姿を思い出すことでしょう。彼の影響は今後長年にわたって感じられるに違いありません。今後、牡駒・牝駒に彼のレガシー(遺産)を見出すことを楽しみにしています」。
セブリングの傑出した父モアザンレディが米国から18年連続でシャトルされていたが、今年から豪州のヴァイナリースタッド(Vinery Stud)に戻ってこない。それを考慮すれば、産駒獲得賞金が6,700万豪ドル(約53億6,000万円)以上に上るセブリングの死は生産者に一層大きなショックを与えるだろう。
セブリングは昨年、種付料6万6,000豪ドル(約528万円)で199頭に種付けした。産駒の中ではディシデント、クライテリオン、セブリングサン(Sebring Sun)、ゴールドスタンダード(Gold Standard)、ハードアセット(Hard Asset)が種牡馬となっており、スピド(Supido)は同じウィデンスタッドで供用されている。
セブリング産駒は、3月のイングリス社メルボルンプレミア1歳セールで12頭、4月のイングリス社豪州イースター1歳セールでは33頭がカタログに掲載されている。また3月のマジックミリオンアデレードとゴールドコースト3月1歳セールにもそれぞれ1頭ずつが上場予定。
By Tim Rowe of ANZ Bloodstock News
(1豪ドル=約80円)
[Racing Post 2019年2月23日「Golden Slipper winner and Widden sire Sebring succumbs to heart attack aged 13」]