サンタアニタパーク競馬場の本馬場(ダート)において、この3日間(2月23日~25日)で3頭が調教中に故障を発症し安楽死処分となった。25日(月)には、マーク・グラット(Mark Glatt)厩舎のチャーマージョン(Charmer John)が予後不良となっている。
カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board:CHRB)の馬医学担当理事であるリック・アーサー(Rick Arthur)博士は、チャーマージョンは調教後に左前肢の球節に故障を発症したために安楽死処分となったと述べた。グラット調教師は25日(月)朝、この件についてのコメントを控えた。
23日(土)には、G1馬バトルオブミッドウェイ(Battle of Midway)と未出走馬ジャストフォーゲットイット(Just Forget It)が調教中の故障で予後不良となっていた。
調教中・レース中の故障が増加する中でこれらの予後不良が生じたため、サンタアニタ競馬場の経営陣とCHRBは24日(日)、安全対策についての会合を持った。会合の後、サンタアニタ競馬場は25日(月)・26日(火)の調教を中止することを発表した。しかし、競馬殿堂入りトレーナーのジェリー・ホレンドーファー(Jerry Hollendorfer)調教師とボブ・バファート調教師を含む数人の調教師が抵抗したため、経営陣は25日(月)に本馬場を開放しておくことを決定した。
サンタアニタ競馬場を所有するストロナックグループ(Stronach Group)のCOOティム・リトヴォ(Tim Ritvo)氏は24日(日)、「これらの数人の調教師たちが馬場には全く違和感はないと言わなかったら、私たちは本馬場を開放しなかったでしょう」と語った。
リトヴォ氏は25日(月)にコメントを求められて、新たな予後不良が生じたことについて遺憾の意を表明した。しかし、① 馬場が安全であると思われたこと、② 26日(火)に予防策として馬場の査定を実施予定であること、③ 調教中・レース中の故障は原因を1つに絞れない多面的なものであること、を繰返し述べた。また、出走馬が獣医検査をパスする必要のある競走とは違い、調教では獣医師による馬体検査のような予防対策が行われていないことも指摘した。
リトヴォ氏はこう続けた。「調教では追い切りの前に馬を検査しませんが、競走の前には獣医師による検査で承諾をもらわなければなりません。それゆえ、競走と調教の統計は異なります」。
「調教を続けたいと思っている調教師たちについては、馬場が安全であると確信できないかぎり、馬を走らせないようにすることを望みます」。
25日(月)にサンタアニタ競馬場の本馬場では、バファート調教師やホレンドーファー調教師が管理するトップホースも含め121頭が調教された。両調教師はこの日に調教された管理馬は無事に調教を終えたと述べた。その中にはステークス勝馬のガリリアン(Galilean)、ゲームウィナー(Game Winner)、インプロバブル(Improbable)、インスタグランド(Instagrand)、マッキンジー(McKinzie)がいた。
バファート調教師はこう語った。「すべての乗り手に確認しました。彼らは何かが調子悪いと感じた時には、私に知らせるでしょう。これまでとは違い馬場には多くの素材(砂)が含まれていますが、私たちの管理馬は順応しました」。
「大型馬を調教するときはいつも神経を使います。前の晩によく眠れません。どのような馬場であろうと、いつもそのように感じます。あいにく最近は不運なことが起こっていますが、これ以上故障がないことを祈っています」。
「不運な事故に遭った調教師たちには同情します。私たちは調教を続ける必要があると主張したので、心苦しく思っています。しかしできる限り安全性を保つために、私たちは一丸となって取り組んでいます」。
By Jeremy Balan
[bloodhorse.com 2019年2月25日「Another Horse Dies During Training at Santa Anita Park」]