海外競馬ニュース 2019年03月07日 - No.9 - 2
フランスにおける鞭使用可能回数、5回に削減(フランス) [開催・運営]

 フランスギャロ(France Galop)は、競馬において鞭の存在感を低下させる取組みを続けており、2年前に8回から6回に削減した鞭使用可能回数をさらに5回にまで削減することを発表した。

 この新ルールは3月1日に発効する。ただし3月14日まではこのルールに対する意識を高める期間として、騎手が鞭を6回使用しても制裁は下されない。

 審判審議会(Conseil Juridictionnel)は2月27日にこのルール変更を決定し、これを機会に、鞭を使用するときに騎手は肘を肩より上にあげてはならないとする現行ルールを詳しく定義した。

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 フランスギャロは長年にわたり、競馬のイメージを改善するために鞭使用可能回数は徐々に削減されるべきであるとの見解を持ってきた。また、馬福祉憲章(Equine Welfare Charter)の設立メンバーとなった2016年以降、その思いを強めてきた。

 裁決委員会のスポークスマンはこう語った。「今回のルール変更は道理に適っています。鞭使用可能回数を8回から6回へ削減する前でさえも、定期的に会合を行う様々な国の競馬統轄機関の間で、"5回を目標とすべきだ"という考えがありました」。

 「騎手協会(Association des Jockeys)と本格的に協議した結果、この問題においてフランスがリーダーになることを望むという点で合意しました。その目標と合意により、私たちは鞭使用可能回数を6回から5回に削減しようとしています」。


英国のルール

 フランスが鞭使用可能回数を削減したことで、英国で実施されているルールとの差は広がる。英国のルールでは、鞭使用可能回数は平地で7回、障害で8回である。またアイルランドには回数制限はない。

 BHA(英国競馬統轄機構)のメディア担当であるロビン・マウンジー(Robin Mounsey)氏はこう語った。「英国政府は最近、BHAが現在実施している競馬施行規程を"競馬における鞭使用を制限するのに十分であり満足している"とし、支持しました」。

 「BHAは全般的に、鞭が議論のテーマとなり続けることを認識しています。私たちはその議論に敏感で、興味をもって耳を傾けています。競馬界は現在のところ、産業全体の福祉戦略を発展させており、その一環として英国競馬における鞭の使用方法についてさらなる考察がなされています」。

 フランスは鞭使用可能回数を5回としたことで、欧州で競馬を最も厳格に統括するドイツと足並みを揃えることになる。しかしドイツの罰則は他と較べて圧倒的に厳しく、初犯で14日間の騎乗停止処分が科され賞金が没収される。

 フランスのAFASEC競馬学校の見習騎手は、"最後に鞭を使う者がレースの勝者となる"と日常的に教わっている。フランスの罰則では、初犯には比較的寛大な過怠金75ユーロ(約9,375円)が科される。従来の考え方では、再犯にはより長い騎乗停止処分が科される。

 その考え方は引き続き適用される。鞭の使用回数が10回を超えた騎手は、以前よりももっと重い処分に直面するだろう。11回使用した場合には最短でも11日の騎乗停止処分、12回使用した場合には最短でも12日の騎乗停止処分が科される。また、鞭を8回~10回使用した騎手に対する処分も強化される。

 スポークスマンはこう付言した。「騎手が鞭を11回以上使うケースはありがたいことに稀です。一般的に騎手は責任ある行動をとる必要性を強く感じており、すでにその行動を是正するために十分な役割を果たしてきました。彼らと私たちはこの問題に関して他国よりもリードしていると見られることを望んでいます。また、競馬界の外からルールを強いられるのを避けたいと考えています」。

By Scott Burton

(1ユーロ=約125円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2017年No.3「フランスにおける鞭使用可能回数、6回までに削減(フランス)」

[Racing Post 2019年2月27日「Maximum number of permitted whip strokes reduced to five from six」]