サウジアラビアの競馬統括機関は4月13日(月)、優勝馬を管理した調教師が違法薬物使用に関する嫌疑が掛けられているため、総賞金2,000万ドル(約22億円)の配分を保留すると発表した。
サウジアラビア・ジョッキークラブ(Jockey Club of Saudi Arabia)は、独自調査の結果が出るまで賞金を配分せず、徹底的な調査を終えてからさらなる声明を発表すると述べた。
サウジカップ(2月29日)を制したのは、ゲイリー&メアリー・ウエスト夫妻が所有するマキシマムセキュリティである。このレースのわずか8日後、同馬を管理していたジェイソン・サーヴィス調教師とその他サラブレッド競走&繋駕競走に関わる26人が、馬へのドーピングに関与した容疑で連邦当局から起訴された。サーヴィス調教師は、共謀して競走能力向上薬(PED)を変造し偽ラベルを貼付したという容疑を否認している。
サウジアラビア・ジョッキークラブの声明によると、賞金配分の保留はサウジカップ出走馬の関係者に個別に伝えられているとのこと。
マキシマムセキュリティ以外に、米国調教馬4頭がサウジカップに出走していた。ミッドナイトビズー(Midnight Bisou)は2着、ムーチョグスト(Mucho Gusto)は4着、タシトゥス(Tacitus)は5着だった。優勝馬への賞金は1,000万ドル(約11億円)であり、ミッドナイトビズーには350万ドル(約3億8,500万円)、ムーチョグストには150万ドル(約1億6,500万円)、タシトゥスには100万ドル(約1億1,000万円)が配分される。
起訴状によれば、サーヴィス調教師は「昨年6月、モンマスパーク競馬場(ニュージャージー州)のレースを2週間後に控えていたマキシマムセキュリティに"SGF-1000"が含まれるPEDを投与した」と述べていた。ニュージャージー州の当局が競技外検査のために採取した同馬の検体からは、違法薬物は検出されなかった。
サーヴィス調教師はまた、2019年ケンタッキーダービー(G1)の数ヵ月前に連邦当局が録音した電話での会話において、「厩舎のほぼすべての管理馬に薬物を使用している」と話していたとされている。マキシマムセキュリティはケンタッキーダービーにおいて、1位入線したものの走行妨害が認められ降着(17位)となった。
ゲイリー・ウエスト氏はコメントを求められ、「サウジアラビア・ジョッキークラブが独自調査の実施が妥当であると判断したことに同意します」とメールで回答した。
同氏は、マキシマムセキュリティに違法薬物が使用されていることを一切知らなかったと述べた。そして競馬統括機関に対して、これまでに採取された同馬の競走後の検体でまだ保管されているものを全て再検査するように求めている。
ウエスト氏は起訴状が出た後、マキシマムセキュリティをボブ・バファート厩舎に転厩させている。
By Matt Hegarty
(1ドル=約110円)