海外競馬ニュース 2020年05月28日 - No.21 - 1
クラシック競走の賞金が大幅減額(イギリス・アイルランド)[開催・運営]

 英国とアイルランドのクラシック競走の総賞金が発表された。競馬界が新型コロナウイルス感染拡大による経済的打撃に直面している現状において、これは財源削減の大きさを浮き彫りにするものである。

 BHA(英国競馬統括機構)のウェブサイトには、ニューマーケット競馬場で施行される英2000ギニー(G1 6月6日)と英1000ギニー(G1 6月7日)の総賞金は、いずれも当初予定の半分である25万ポンド(約3,250万円)と記載されている。ただし現時点では暫定的なものである。

 アイルランドでは、愛2000ギニー(G1 6月12日)と愛1000ギニー(G1 6月13日)の総賞金は、当初予定の40万ユーロ(約4,800万円)から37.5%減の25万ユーロ(約3,000万円)となる。

 また愛ダービー(G1 6月27日)の総賞金は半額の75万ユーロ(約9,000万円)、愛オークス(G1 7月18日)の総賞金は25万ユーロ(約3,000万円)とされる。さらに、プリティポリーS(G1 6月27日)の総賞金は20万ユーロ(約2,400万円)とされるだろう。

 カラ競馬場のCEOパット・キーオ(Pat Keogh)氏は5月22日、今年も愛2000ギニーと愛1000ギニーのスポンサーをタタソールズ社が務めることを認めた。そして、このかつてない状況において他のG1競走のスポンサーも契約を継続することを望んでいる。

 キーオ氏はこう語った。「私たちは長年スポンサーと取引を続けてきました。その関係はこれからも続くものであり、優先すべきことは契約の継続です。しかしスポンサーもそれぞれ困難に直面していることを認識しています」。

 「異例の平地シーズンとなりつつあります。無観客競馬は長期間に及ぶでしょう。多くのスポンサーが契約をする大きな理由は、顧客を競馬場でもてなし、現地に来ている観客にアピールするという利点があるからです。しかしこの状況ではそれがかないません」。

 「その反面、レースの放映やストリーミング配信が拡大されるので、それらの利点を活かすこともできるでしょう。長年にわたってスポンサーとの関係を構築してきたからこそ、どのスポンサーにも様々な要求があることを認識しなければなりません」。

 「今シーズンは特異なものだと捉えて、苦心して進んでいくしかないでしょう。来年には以前の状態に戻ることを望んでいます」。

 英国のG1競走の最低賞金額は、一時的に50%減の10万ポンド(約1,300万円)に定められている。今年に限りニューマーケットで施行されるコロネーションカップ(G1 6月5日)の総賞金は、暫定的にこの最低賞金額とされている。なお同レースの昨年の総賞金は42万5,000ポンド(約5,525万円)だった。

 コロネーションカップは伝統的に、2日間のダービーフェスティバル(エプソム競馬場)において施行されてきた。日程が変更された同レースのスポンサーを最終的に決定するために、会合が持たれる予定。

 ジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses)の東部担当理事であるエイミー・スターキー(Amy Starkey)氏は、「私たちは、英2000ギニーと英1000ギニーを目玉とするニューマーケット開催(6月4日~7日)の詳細を確認したばかりです。賞金額については、現在のところ名目上の賞金額がBHAのウェブサイトに記載されています。賞金額とスポンサーについては、数日内に最終決定されれば伝えられるでしょう」と語った。

By Mark Boylan and Jonathan Harding

(1ポンド=約130円、1ユーロ=約120円)

[Racing Post 2020年5月21日「Classics prize-money slashed as racing comes to terms with coronavirus impact」]