海外競馬ニュース 2020年06月18日 - No.24 - 1
香港ジョッキークラブ、2020-21年シーズンの賞金を大幅アップ(香港)[開催・運営]

 世界中で賞金は減少傾向にあり、各国の競馬は社会不安と新型コロナウイルス感染拡大により悩まされている。それにもかかわらず、香港ジョッキークラブ(HKJC)は2020 -21年シーズンの賞金を大幅アップさせる。

 HKJCは6月16日、2020-21年シーズンの賞金総額が過去最高の14億香港ドル(約196億円)になると発表した。中でも、香港スプリント(G1)と香港ダービー(L)の地位は大きく引き上げられる。

 HKJCは、香港スプリント(芝1200m)はその総賞金が200万香港ドル(約2,800万円)引き上げられて2,200万香港ドル(約3億800万円)となり、世界最高賞金を誇る芝G1スプリント競走に返り咲くと述べた[訳注:なお、出走馬関係者が出走枠を購入するジ・エベレスト(芝1200m 豪ランドウィック競馬場)の2019年の総賞金は1,400万豪ドル(約10億5,000万円)だった]。

 また、以下のG1競走5レースの総賞金は、200万香港ドル(約2,800万円)引き上げられて、1,200万香港ドル(約1億6,800万円)となる。

・ センテナリースプリントカップ(芝1200m)
・ 香港スチュワーズカップ(芝1600m)
・ クイーンズシルバージュビリーカップ(芝1400m)
・ 香港ゴールドカップ(芝2000m)
・ チャンピオンズ&チャッターズカップ(芝2400m)

 HKJCは、香港ダービーは世界において東京優駿(日本ダービー G1)に次ぐ高額賞金ダービーに浮上すると述べた。香港ダービーの総賞金は、400万香港ドル(約5,600万円)引き上げられて2,400万香港ドル(約3億3,600万円)となる。

 賞金増額は競馬番組全体に広がり、クラス5にまで行き渡る。クラス5の競走の総賞金は、72万5,000香港ドル(約1,015万円)から75万香港ドル(約1,050万円)に引き上げられる。

 HKJCの競走担当専務理事アンドリュー・ハーディング氏はこう語った。「私たちは、新型コロナウイルスと関係する諸問題や世界経済の不透明感にもかかわらず、近年成功してきた賞金レベルを引上げる戦略を続行します。それは、馬主を報い励ますために、そして香港G1競走が世界中の競走馬にとって魅力あるものとするために必要です」。

 「このアプローチは、香港が最高級のレースを施行することにおいて世界的なリーダーであり続けるための根幹です。それにより、私たちはこの7年間において毎年、ワールドベストレースホースランキングで20頭~26頭の香港調教馬をランクインさせてきました」。

 馬主たちは当然、この発表を歓迎している。

 香港馬主協会のチュウ・フクアン(周福安 Chew Fook Aun)会長は、「世界中で賞金レベルが下がっている中で、HKJCが賞金増加を発表したのはとても歓迎すべきニュースであり、苦境に立たされても香港競馬界が再起する力を持つことの証明です」と語った。

 香港競馬は2019-20年シーズン前半、時折過激化した民主化デモにより悪影響を受けた。街中にあるハッピーバレー競馬場では2回の競馬開催が中止となり、多くの場外馬券発売所が閉鎖された。そして12月の香港国際競走の入場者数は大幅に減少した。

 デモが下火となったとき、今度は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。HKJCは1月27日から無観客でレースを施行している。2019-20年シーズンの後半には、移動制限により海外からの遠征馬がG1競走に出走することができなかった。

By Bob Kieckhefer

(1香港ドル=約14円、1豪ドル=約75円)

[bloodhorse.com 2020年6月16日「Bucking Worldwide Trends, HKJC Announces Purse Hikes」]