サウジアラビア・ジョッキークラブ(Jockey Club of Saudi Arabia:JCSA)は8月10日、サウジカップの2着~10着馬の関係者に賞金を分配するが、調査中のマキシマムセキュリティへの優勝賞金は引続き保留にすると発表した。総賞金2,000万ドル(約21億円)のサウジカップは2月29日にキングアブドゥルアジーズ競馬場で施行された。
JCSAが納得の行く形で調査と審議を終えるまで、1位入線したマキシマムセキュリティに優勝賞金1,000万ドル(約10億5,000万円)は支払われない。当時同馬を管理していた米国のジェイソン・サーヴィス調教師は、馬への競走能力向上薬(PED)使用に関与した容疑で連邦当局から起訴された。JCSAは最終決定を行うために、その訴訟手続きから新たな情報を得ることを望んでいる。
マキシマムセキュリティ(父ニューイヤーズデイ 母リルインディ 母父アナシード)は、ゲイリー&メアリー・ウエスト夫妻に生産された。今年1月にクールモア関係者が所有権の半分を購入したため、現在の馬主はウエスト夫妻とクールモア関係者(スーザン・マグニア氏、マイケル・テイバー氏、ディック・スミス氏)である。
マキシマムセキュリティは2019年にフロリダダービー(G1)、ハスケル招待S(G1)、シガーマイルH(G1)を制し、その年の最優秀3歳牡馬に選出された。ケンタッキーダービー(G1)ではこのレースの歴史において初めて、1位入線したものの走行妨害のために降着となった馬になった。同馬はサウジカップの後に南カリフォルニアのボブ・バファート調教師のもとに転厩し、7月25日のサンディエゴH(G2 デルマー)で優勝した。
JCSAは声明で以下のように伝えている。
サウジアラビア王国の競馬の公正性を守ることを理由に、以下の考察に基づき、この決定は下されました。
2020年サウジカップ終了後、サーヴィス調教師らが米国で起訴されました。極秘起訴状は対象期間を2018年~2020年2月とし、サーヴィス調教師がマキシマムセキュリティを含む管理馬にPEDを投与したと申し立てています。
PEDの投与は、競馬の公正確保と馬の福祉のために、JCSAの競馬施行規程およびサウジカップのホースマンガイドで禁じられています。JCSAはサウジカップの前に、マキシマムセキュリティにPEDが投与されているとする申立ても指摘も受けていませんでした。
しかしサーヴィス調教師が起訴された結果として、JCSAはマキシマムセキュリティがサウジカップに参戦したことに対して異議を受けました。JCSAはその起訴と異議を受けて申立てに対する独自調査に乗り出し、それはサウジカップの出走馬の全関係者や一般の人々に広く通知されました。
調査は継続中ですが、新型コロナウイルス感染拡大と、JCSAが米国で進行中の訴訟手続きの当事者でないことにより、妨げられています。それゆえ、訴訟手続き中に極秘起訴状を裏付ける証拠が出され、それが公有に属するまで、JCSAの調査と審議のためにその証拠を利用できません。
JCSAは、寄せられた異議とマキシマムセキュリティがレースに出走したときの状況について、公平で妥当な決断を下さなければなりません。極秘起訴状に関して検察当局が収集した証拠を検討しなければ、JCSAは調査結果を適切にまとめられず、JCSAの裁決委員会は審議を開始できません。
JCSAは今後、調査が終了するまでコメントを控えます。
By Blood-Horse Staff
(1ドル=約105円)
(関連記事)海外競馬ニュース 2020年No.15「世界最高額のサウジカップの賞金、支払いを保留(サウジアラビア)」
[bloodhorse.com 2020年8月10日「No Final Decision Yet on Maximum Security's Saudi Cup」]