エプソム競馬場とレスター競馬場は、英国の医療監督機関が12月2日に新型コロナウイルスのワクチンを承認したことをうけ、ワクチン接種の拠点とされる予定である。
ワクチンを審査する医薬品・医療製品規制庁(MHRA)がファイザー社/ビオンテック社が開発したワクチン注射を認可したことで、英国は新型コロナウイルスワクチンを承認する世界初の国となった。これをうけ、英国政府は大規模なワクチン接種計画を準備している。
デイリーテレグラフ紙によれば、英国政府は軍関係者に対して、ワクチン接種計画を支援するために今後2週間以内に多くの場所を大型ワクチン接種センターに転換するように命じている。
これらのワクチン接種の拠点には、アシュトンゲートスタジアム(ブリストルシティFCのホームスタジアム)とマンチェスターテニス&フットボールセンターなどのスポーツ競技場とともに、エプソム競馬場とレスター競馬場が含まれる予定である。レスター競馬場でのワクチン接種は、関係者によると、その裏にある展示センターで実施されるようだ。
すでに数々の競馬場がコロナウイルスとの闘いのために利用されている。今年前半には、多くの競馬場がドライブインのPCR検査のために使われた。
ファイザー社/ビオンテック社のデータは、そのワクチンが新型コロナウイルスを予防する有効性を95%としている。英国はすでに4,000万回分を予約しており、ワクチン接種は12月8日に開始される。40万人が接種できる最初の80万回分は12月7日に到着予定である。
マット・ハンコック保健相は朝の情報番組『BBCブレックファースト』に出演し、こう語った。
「もうすぐワクチンが届き、来週から接種を開始でき、新型コロナウイルスに対して最も脆弱な人々を優先して実施できます。本日のニュースをうけて、春の復活祭以後からあらゆることが好転し、来年は誰もが夏を満喫できると確信しています」。
英国において競馬は6月1日から感染予防策の下で施行されてきた。12月2日には、英国が全国的なロックダウンから新型コロナウイルス予防のための3段階制度(ティア1~3)に移行したため、競馬場は3月以来ふたたび観客を迎えることができた。
国民保健サービス(NHS)はワクチン接種の拠点は追って発表されると述べた。
12月2日には英国の4競馬場に限定数の競馬ファンが戻った。ジョッキークラブのグループCEOであるネヴィン・トゥルーズデール(Nevin Truesdale)氏は、より多くの観客が競馬場に戻ってくるための大きな一歩としてワクチン承認を称賛した。
「競馬が開催されるさまざまなコミュニティーで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を目の当たりにしてきました。本日のワクチン承認のニュースは、英国にとって重要であり、関係者全員にとって大きな安心を与えるものに思えます。それはまた、観客の存在が切り離せない英国競馬の復活への長い道のりにおいても非常に待ち望まれていたものです」。
By Peter Scargill
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