2月19日(水)~21日(金)に南アフリカのケープタウンにおいて、第38回目のアジア競馬会議(Asian Racing Conference: ARC)が開催中である。英国・アイルランドからは多くの代表者が参加しているが、最多人口の競馬開催国である中国からの代表者はゼロである。
中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスは、今回のARCに大きな影響を及ぼしている。ARCはアジア競馬連盟(Asian Racing Federation: ARF 事務局:香港)の加盟21ヵ国により、18ヵ月ごとに持回りで開催されている。
ARCに参加予定だった中国本土からの代表者たちは、その中に武漢市に最近行ったことがある人はいなかったものの、全員欠席することに同意した。中国は全国的な競馬統括機関をもたないが、過去2回のARC(2016年ムンバイ大会・2018年ソウル大会)で大きな存在感を示していた。
さらにハッピーバレーとシャティンの両競馬場でウイルスが広がるのを未然に阻止するために非常措置を取っている香港ジョッキークラブ(HKJC)は、代表者たちのARC出席を大幅に制限した。
HKJCのCEOウィンフリード・エンゲルブレヒト-ブレスケス氏は、本来であればARFの会長としてARCで重要な役割を担うはずだった。しかし同氏は、総勢50人以上と見込まれていた香港からの代表団の中で最も目立つ欠席者となった。ロンドン経由で到着した1人の演者を除き、2月16日までにケープタウンに到着していた香港からの参加者には、ARFの事務総長でHKJCの競走担当専務理事であるアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)氏と3人の事務局員が含まれていた。
ARFと現地運営委員会は声明において、南アフリカでは新型コロナウイルスの感染例は確認されていないとし、こう述べている。「2019年12月後半に中国の武漢市で新型コロナウイルスが発生したことをうけ、私たちはその後の進行状況を注視しています。そして第38回ARCの出席者の健康と安全を確保するために行動しており、会議が計画どおり進行するように必要な措置を取っています」。
BHA(英国競馬統括機構)のCEOニック・ラスト氏は、ウイルスとは関係のない理由でARCの欠席を決めた。しかしBHAの会長アンナマリー・フェルプス(Annamarie Phelps)氏は2月20日(木)、『競馬における公正の確保』を検討するパネルセッションのためにARCに出席する。
その後、BHAの最高規制責任者ブラント・ダンシー(Brant Dunshea)氏が『反違法賭事タスクフォース』に出席し、HKJCの3人の公正確保担当理事に加わる。その3人の中にはマーティン・パーブリック(Martin Purbrick)氏や元BHA賭事アナリストのトム・チグネル(Tom Chignell)氏がいる。
また2月20日(木)には、英国で新たに立ち上げられた馬福祉委員会(Horse Welfare Board)が最初の戦略計画報告を発表する予定である。さらに第4回競走馬アフターケア国際フォーラムもARCと同時開催される。この国際フォーラムでは"競走馬の再調教(RoR)"のCEOダイ・アーバスノット(Di Arbuthnot)氏が議長を務め、世界馬福祉協会(World Horse Welfare)のCEOロリー・オワーズ(Roly Owers)氏が演者の1人となる。
ARCは2月19日(水)にパネルセッション『賭事とデジタル化』で開幕する。このセッションでは、アスコット競馬場のCOOアラステア・ウォリック(Alastair Warwick)氏も演者の1人である。その後『革新的なレースコンセプトの模索』についての議論が行われ、ホースレーシングアイルランドのCEOブライアン・カヴァナー(Brian Kavanagh)氏が参加する。
By Howard Wright in Cape Town