シャンティイ競馬場は、公衆衛生当局が新型コロナウイルスの脅威に備えていることを受け、3月3日(火)に無観客競馬を実施する[訳注:3月9日(月)、10日(火)、13日(金)も無観客競馬となることが決定している]。
フランスギャロ(France Galop)はオワーズ県(フランス北部)の当局と協議し、2月29日(土)にこの措置を発表した。同県はフランスにおいて、最多の新型コロナウイルス感染例を出している。
2月29日(土)時点で、フランスの感染例は合計100件だが、そのうち36件がオワーズ県で報告されたものだった。
シャンティイの近くにあるコンピエーニュ競馬場も3月2日(月)と4日(水)に無観客競馬を実施する。
フランスギャロは地方自治体の指導に従っており、3月1日(日)のオートゥイユ競馬場(パリ)では、特別な予防措置を講じることなく通常どおりの開催が行われる。
感染が拡大すれば、3月14日(土)にスタッド・ド・フランス(パリ北郊のスタジアム)で予定されているシックス・ネーションズ(欧州6ヵ国が参加するラグビー大会)の最終戦(フランス対アイルランド)に影響が及ぶかもしれない。
シャンティイでは3月3日(火)、ドバイワールドカップナイトのトライアル3レースが施行される。それらのレースには、昨年のドーヴィル大賞(G2)優勝馬ジヤッド(Ziyad)やゴドルフィン所有のアンピュルシフ(Impulsif)とシルティス(Syrtis)が出走予定。
チェルトナムフェスティバル初日(3月10日)が開催されるかどうかについてベットフェア社が提供した賭事には100万ポンド(約1億4,000万円)以上が賭けられた。この賭事が立ち上げられた2月25日(火)には「開催されない」のオッズは4.1倍であった。しかし3月1日(日)午後9時のオッズは「開催されない」が2.3倍、「開催される」が1.7倍となっている。
ニッキー・ヘンダーソン(Nicky Henderson)調教師は、新型コロナウイルス拡大により中止になればチェルトナムフェスティバルは日程を変更すべきであると述べた。
同調教師は、レーシングTVの番組『ラック・オン・サンデー(Luck On Sunday)』においてこう語った。「チェルトナム競馬場のマーティン・セント-クイントン(Martin St Quinton)会長と、馬場取締委員のサイモン・クライス(Simon Claisse)氏と話しました。彼らはとても前向きでしたが、状況がどうであれそのような態度を取らなければならないのでしょう。何か悲惨なことが起これば、当然政府が何らかの決定を下すでしょう」。
「口蹄疫が流行した2001年とは状況が異なります。その時は環境・食料・農村地域省(Defra)と競馬界との間で決定を行いました。チェルトナムフェスティバルは最も重要な祭典なので、何が起ころうともどこかの時点で開催する必要があります。中止に追い込まれたとしたら、休止時期はどれぐらい長く続くのでしょうか?」
3月1日(日)には英国で新たに12件の感染例が報告された。英国全体では1万人以上の人々が検査を受け、35件の感染例が報告されている。
ボリス・ジョンソン首相は、悪化する状況に対応するために国家緊急事態対策会議を2日(月)に開く予定であり、新型コロナウイルス対策は"政府の最優先事項"だと述べた。
BHA(英国競馬統括機構)は2月28日(金)、他のスポーツの対応に同調して競馬開催を中止する方針を立てる必要性は今のところないと強調した。しかし、政府と密接に協議し、さまざまな不測の事態に備えると付言した。
この週末(2月29日~3月1日)、イタリアのセリエA(サッカーのトップリーグ)の5試合が新型コロナウイルスへの懸念から延期となった(前の週末は4試合が延期)。
無観客試合が予定されていたが、ユベントスやインテル・ミラノなどのクラブは空っぽのスタジアムでプレーすることはできないとし、試合を延期するようにリーグに嘆願していた。
イタリア北部の3地域では、学校や大学が2週間にわたって休校している。一方フランス政府は16件の新たな感染例を確認し、国内での感染例が100件となったことを受けて、屋内の5,000人以上の集会を禁止した。
スイス政府は1,000人以上の集会を禁止した。また、日本と香港の競馬界は無観客競馬を施行する。
日本は現在までに感染例が226件に上っており、最大の懸念国の1つである。パディパワー社が提供した2020年東京五輪開会式に関する賭事では、「中止となる」のオッズは4-6(1.67倍)となっている。
By Scott Burton and Tom Ward
(1ポンド=約140円)