海外競馬ニュース 2021年07月21日 - No.27 - 1
スノーフォール、愛オークスを8½馬身着で圧勝(アイルランド)[その他]

 センセーショナルで、魅惑的で、まだ続きがありそうな予感がする。

 焼けつくほど暑い土曜日、カラ競馬場ではそれ以上気温を上げることなど不可能かと思われたが、スノーフォールは愛オークス(G1 7月17日)で灼熱のパフォーマンスを見せ、あらゆる要素においてそれをうまく成し遂げたのである。

 英オークス(G1 エプソム 6月4日)での16馬身差の破壊的な圧勝は、同レースを最も際立つ形で制した馬としてスノーフォールの名を歴史に刻ませることになった。そして愛オークスではその半分強の着差だったのだが、スノーフォールは1905年にブレイクスタウンが10馬身差で優勝した後で、愛オークスで最も大きい着差、8½馬身差をつけて勝利した馬となった。

 1.29倍の大本命が圧勝したクラシック競走からは、必ずしも多くの教訓が得られるわけではない。それに彼女の対戦相手は一流ではなかったかもしれない。しかし今回のレースでは少なくとも3つのことが確認できた。まず、英オークスでの驚異的なパフォーマンスは一時的な成功ではなかったこと。また、英オークスでは泥が跳ねかかるような馬場状態を当てにしていたわけではなかったこと。そして、エイダン・オブライエン調教師がスノーフォールとラブという現在世界で最もエキサイティングな牝馬2頭を手掛けているということ。

 オブライエン調教師は日本産馬として初めてアイルランドのクラシック競走を制したスノーフォール(父ディープインパクト 母ベストインザワールド 母父ガリレオ)についてこう語った。

 「彼女は信じられないような血統をもつ驚異的な牝馬です。持久力とスピードを持ち合わせています。スノーフォールが規則正しく襲歩し、ライアンも言っていましたが、彼女は直線に入ると見違えるように活気づきました」。

 また同調教師は、単勝1.22倍で1988年愛オークスに臨んでメロディスト(Melodist)と同着で優勝したディミヌエンド(Diminuendo)以来、最も低いオッズで愛オークスを制したスノーフォールについてこう述べた。「素晴らしいレースで、一定のリズムで走ったレースでした。ライアンはきれいな騎乗をしました。ペースが速くなるといつも遺伝的な要素が出てくるものです。持久力があるのかないのか、傑出したスピードがあるのかないのかなどです」。

 「彼女はエプソムから体が進化し、とても大きく強くなりました。ライアンは、彼女にはスピードが存分にあると言っていました。彼女はとても力強く進み、最後までしっかりと走ってくれました。私たちはいつも、彼女が速い馬場を得意としていると考えてきました」。

 バリードイル(クールモアの調教拠点)の名伯楽は、総賞金40万ユーロ(約5,200万円)の愛オークスに4頭を出走させ、そのうち3頭が1着・2着・4着に入った。そしてサー・マイケル・スタウト調教師がもつ愛オークス6勝の記録に並んだ。またスノーフォールは、英愛のオークスをダブル制覇した史上15頭目の牝馬となった。

 2017年に同様に低いオッズでこれらのレースに臨んで勝利をつかみ取った名牝エネイブルが、そのシーズンの後半に凱旋門賞(G1)初制覇を果たしたことは忘れがたい。オブライエン調教師はシーズンのハイライトとなるパリのレースに挑戦することを否定していないが、出走するには12万ユーロ(約1,560万円)の追加登録料を支払わなければならない。

 もっとも、スノーフォールはより近い目標として8月19日のヨークシャーオークス(G1)を目指している。

 オブライエン調教師は、「愛オークスとヨークシャーオークスに出走してから秋に向けて準備することを計画していました。ここに来るうえで、シーズン後半を意識していました。英オークスの後に挑戦するには愛オークスは完璧なレースでした」と語った。

 そして、ラブとスノーフォールが揃って凱旋門賞(G1)に出走する可能性があるかどうかについて質問され、出走レースの決定はクールモアのパートナーたちが行うと強調しながらもこう語った。「ラブは次にキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに向かう予定です。私たちのチームが凱旋門賞についての決定を下すのは先のことになると思いますが、そのレースが馬に合っているのに2頭を対戦させないという決断を彼らが下したことはこれまで見たことがありません」。

 「長い道のりですので、一歩ずつ進んでいきたいと思います。もしそのような形で2頭の対戦が実現するとすれば、素晴らしいことですよね。そうなれば私たちは大喜びするでしょうが、決断するのはチームです」。

 パディパワー社は、英愛のオークスをダブル制覇したスノーフォールの凱旋門賞でのオッズを6.5倍から5倍に下げた。一方、ラブはオッズ6.5倍の2番人気になっている。

 最終コーナーに差し掛かったとき、スノーフォールの前方がほとんど開かないように見えたときが少しあった。しかしムーア騎手は馬を冷静にコントロールし、スノーフォールは強い確信をもって直線でディヴァインリー(Divinely)とナイセスト(Nicest)をかわして引き離した。

 ムーア騎手はこう述べた。「スノーフォールは卓越した牝馬です。素直な性格をしており、やるべきことをやり遂げたのです。私たちは最終コーナーでわずかな隙間を見つけるのに苦労しましたが、彼女には傑出した速さとスタミナが十分にありとても優秀です。彼女に騎乗できるのを嬉しく思っています。すごくワクワクさせられる牝馬ですね」。

 同騎手は2010年愛オークスをスノーフェアリーとのコンビで制しており、そのときも8馬身差での楽勝だった。

By Mark Boylan

(1ユーロ=約130円)

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[Racing Post 2021年7月17日「Sublime Snowfall records biggest winning margin in Irish Oaks for over 100 years」]