米国の成績上位のホルヘ・ナヴァロ調教師(46歳)は管理馬のパフォーマンスを向上させるために精巧かつ大がかりな組織的ドーピングを画策したという罪状を認めたことで、12月17日に5年間の禁固刑を言い渡された。
マンハッタンの裁判所で判決を発表したメアリー・ケイ・ヴィスコチル連邦判事は、ナヴァロ調教師に対して60日以内に刑務所に出頭するよう命じた。施設は未定だが、フロリダ州の刑務所になると見込まれている。
ナヴァロ氏は、2019年ドバイゴールデンシャヒーン(G1)優勝馬エックスワイジェットを含む1,000頭以上の勝馬を手掛けた。今年8月に、禁止されている競走能力向上薬(PED)を4年間にわたり管理馬に意図的に与えた、もしくは他人に与えるように指示したという罪状を認めた。
ナヴァロ氏とジェイソン・サーヴィス調教師は、2020年3月にFBI(連邦捜査局)が行った早朝の家宅捜査で逮捕された27人に含まれていた。この家宅捜査は競走当日のPEDの使用疑惑に対して実施された盗聴を含む秘密調査の結果をうけたものだった。サーヴィス氏は疑惑を否定して無罪を主張した。
ナヴァロ氏は2つの訴因に対して無罪を主張したが、8月に有罪を認めたあとに1つが不起訴となった。禁固刑と並行して、ナヴァロ氏はこれまでに罰金として7万ドル(約805万円)、不当な利益を相殺するために2,580万ドル(約29億6,700万円)の支払いを命じられている。
この事案の裁判資料には、ナヴァロ氏が最も有名な管理馬エックスワイジェットにPEDを与えたことについて得意そうに話す会話の盗聴が含まれる。そのPEDには、検察によると心臓の障害を引き起こす可能性のあるブラッドビルダーが含まれていた。調教師の声明によると、エックスワイジェットは2020年1月に心臓の障害により死んだ。
ナヴァロ氏は2008年から逮捕されて免許停止になるまでに勝馬1,224頭を送り出し、賞金3,490万ドル(約40億1,350万円)を獲得している。
判決を受けたのはナヴァロ氏で5人目である。これまでスコット・ロビンソン被告とスコット・マンジーニ被告がそれぞれ18ヵ月間の禁固刑、サラ・イズハキ被告が禁固刑と3年間の監督付釈放、ジェレミー・デルク被告が3年間の保護観察、4ヵ月の自宅監禁、100時間の社会奉仕活動、処方薬ビジネスへの関与禁止を言い渡されている。
By Bloodhorse.com/Bob Ehalt
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