海外競馬ニュース 2021年02月10日 - No.5 - 2
ガミーンはケンタッキーオークス失格、バファート調教師に制裁金(アメリカ)[その他]

 ケンタッキーオークス(G1 9月4日 チャーチルダウンズ)で3位に入線したガミーンは競走後検査で抗炎症薬ベタメタゾン(betamethasone)が検出されたために失格となり、殿堂入りトレーナーのボブ・バファート調教師には1,500ドル(約15万7,500円)の制裁金が科された。

 この裁定は1月30日に下され、2月初めにケンタッキー州競馬委員会(KHRC)のウェブサイトに掲載された。ケンタッキー州の裁決委員たちは裁定において、そのレースでガミーンが獲得した賞金の返却を命じた。ケンタッキーオークスの3着賞金は12万ドル(約1,260万円)である。

 ガミーンが失格となった結果、スピーチ(Speech)は4位から繰り上がり、米国で最も権威のある3歳牝馬戦、ケンタッキーオークスの3着馬と正式に認められた。なお優勝馬は、スイススカイダイバーに打ち勝ったシーデアズザデビルである。今回のガミーンの失格がパリミューチュエル賭事の払戻しに影響を与えることはない。

 昨年10月にニューヨークタイムズ紙が2つの匿名情報源をもとにその陽性反応を報じたことで、ガミーンからベタメタゾンが検出されたことが表面化した。バファート調教師の弁護士を務めるクレイグ・ロバートソン氏もその結果を認めていた。

 ケンタッキー州においてベタメタゾンは使用が許可されているが、14日以上の休薬期間が義務付けられている。競走当日に検出されれば、どのようなレベルであったとしても違反になる。ケンタッキー州は北中米競馬委員会協会(ARCI)の外来物質統一基準ガイドライン(Uniform Classification Guidelines for Foreign Substances)に従って、ベタメゾンをクラスCの薬物と見なしている。

 マイケル・ランド・ピーターセン氏所有のガミーンは昨年、最も優秀な3歳牝馬の1頭だった。6月にエイコーンS(G1)でステークス競走初優勝を果たし、夏にはテストS(G1)で優勝した。そして4歳以上の牝馬と対戦したBCフィリー&メアスプリント(G1)でも勝利を収め、2020年最優秀短距離牝馬に選出された。ガミーンは現在、カリフォルニア州のバファート調教師のもとで現役を続行している。

 ガミーンは2020年に、もう1つのレースで失格処分を受けている。5月2日にアローワンス選択クレーミング競走(オークローンパーク)で1位入線した後に局部麻酔薬リドカイン(lidocaine)が検出され失格となっていたのだ。同厩舎馬のシャーラタンも同日に総賞金50万ドル(約5,250万円)のアーカンソーダービー(G1)の分割レースを制していたが失格となった。バファート調教師はこの結果を、厩舎スタッフの1人が貼っていたリドカイン配合の湿布からの偶発的な混入のせいであると考えている。同調教師には15日間の業務停止処分が科された。

 バファート調教師はアーカンソー州の裁定に対して不服申立てを行ったが、今回のケンタッキー州の裁定には何の措置も取らないだろうと、ロバートソン弁護士は述べ、「私たちはその処分を受け入れ制裁金を支払うでしょう。そして前に進むことを考えます」と語った。

 バファート調教師は2020年に禁止薬物の陽性反応が相次いだことを受けて、調教事業の改革を約束する声明を昨秋に発表しており、ロバートソン弁護士はその声明を引用した。このほかにも同調教師は、昨年夏にデルマー競馬場のレースで2位に入線したマーニース(Merneith)からデキストロメトルファン(dextromethorphan)が検出された事案において、2,500ドル(約26万2,500円)の制裁金を科されている。

 バファート調教師は昨秋の声明において、"管理馬の福祉と規則順守を確保するためのさらなる予防策をとるために"、ハギャード馬診療センターのマイケル・ホア(Michael Hore)博士を雇用したと発表していた。

 ロバートソン弁護士は、オークローンパーク競馬場でのリドカインの陽性反応による2件の失格処分に対するバファート調教師の不服申立てについては、まもなくアーカンソー州競馬委員会(Arkansas Racing Commission)の審理日が決定されると見込んでいる。また当事者間の文書の開示はほぼ終わっていると述べた。

 そして「私たちはこの不服申立てでは、ありとあらゆる選択肢を用いて、異議を訴えとおす考えです」と付言した。

By Byron King

(1ドル=約105円)

[bloodhorse.com 2021年2月4日「Baffert Fined, Gamine DQ'd From Kentucky Oaks Third」]