7月30日(土)は電卓とカレンダーをすぐ使える状態にしておく必要があった。フランケルの極めて重要な功績を記録するのに間違いがあってはいけないからだ。この日、良血のエモーション(Emotion)がチャリスS(L ニューマーケット)を制して、種牡馬フランケルにとっての100頭目(実頭数)のステークス優勝産駒となったのだ。
統計をよくチェックしたところ、2021年にリーディングサイアーに輝いたフランケルはデインヒルに並ぶ記録的な速さでこの偉業を達成している。血統を形成した種牡馬とも言われるデインヒルはジャドモントファームの生産馬であり、クールモアのもとで世界的な成功を収めた。
この2頭はいずれも、初年度産駒が競走年齢に達した年の1月1日から数えて2,402日目にこの記録を達成したことになる。
南半球にシャトルされたことで可能性を高めたデインヒルは、1999年7月31日に後に種牡馬となるコマンズが豪州のミサイルS(G3)を制して以来、この記録を単独で保持していた。フランケルは初年度産駒がデビューした2016年からこの記録を達成するまでの速度は1日早いように見えるが、それはこの間にうるう日が1日多かったせいだ。
フランケルは昨年、北半球で最速の重賞勝馬50頭を達成した。現在7世代のフランケル産駒が競走年齢に達しているが、ステークス優勝を初めて果たしたのは2016年7月23日にプリンセスマーガレットS(G3 アスコット)を制したフェアエヴァ(Fair Eva)である。
1½マイル(約2400m)戦を1馬身差で制したエモーションはまだレース経験が少なく、これからの活躍に期待がもてる。
エモーションは4月中旬にデビューしたばかりで、前走のクイーンズヴァーズ(G2 ロイヤルアスコット開催)に挑戦するのは少し早すぎたのか実力を発揮できなかった(12頭中11着)。カタールレーシングにより所有されるこの牝馬は、2012年カドラン賞(G1)優勝馬モリーマローンを母とする。モリーマローンは2017年にアルカナ社のセリでデヴィッド・レッドヴァース氏により60万ユーロ(約8,100万円)で購買されるが、2019年コリーダ賞(G2)を制することになるモーガンルフェイ(Morgan Le Faye 父シャマルダル)をすでに送り出していた。
By Tom Peacock
(1ユーロ=約135円)
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