チェルトナムフェスティバル(3月14日~17日)は1週間前に終わったばかりだ。ブロックスビーS(英国の伝統的なシーズン初めの2歳戦)への出走登録はまだ行われておらず、凱旋門賞(G1)までには半年以上ある。しかし、今年平地競走でイクイノックスを凌駕する馬が現れる可能性はかなり低いと断言できるだろう。
彼がメイダンで披露してくれた以上のスリリングなパフォーマンスを目の当たりにするとしたら、それは想像を絶することになるかもしれない。
日本が世界最強の競馬国であると表現しても、もはや議論を呼ばなくなりつつある。日本に世界一のサラブレッドはいないと主張するのはまったく無意味なことだろう。
ドバイシーマクラシック(G1)でのイクイノックスは驚異的だった。勝ち時計がその並外れた能力を物語っているが、なによりも勝ちっぷりがこの4歳馬の異常な才能を裏付けている。
彼が撃退した2023年の出走馬は非常に層が厚いとは言えなかっただろう。とはいえ、対戦した優秀なG1馬はあまりにも簡単に負かされてしまった。イクイノックスの評判はすでに法外なものであり、ブックメーカーがグリグリの1番人気で送り出すほどだった。
最大の理由はクリスマスに行われた有馬記念(G1)での崇高な勝利にある。そのときもクリストフ・ルメール騎手を背に見事な走りっぷりを見せたが、ドバイシーマクラシックで積極的な走りをやめずにウエストオーバーに大勝したパフォーマンスは砂漠の中で開いた口が塞がらなくなるほどの衝撃を与えた。
切なる願いは、イクイノックスが凱旋門賞に挑戦し、これまで数々の日本馬に立ちはだかってきた山を極めることである。残念ながら、今週関係者たちは近年のかなりの力を要する馬場状態を理由にパリに遠征する可能性は低いと述べた。とはいえ、父キタサンブラックが重馬場で自己最高のレーシングポストレーティング(RPR)を記録していることは注目に値する。
イクイノックスがロンシャンに行くことに期待しよう。彼がどこへ行こうとも、競馬界の視線は世にも稀なサラブレッドに釘付けになるだろう。
By Lee Mottershead
[Racing Post 2023年3月25日「Japan has the best horse in the world - and that horse is an absolute freak」]