ベットフレッド社は今後3年にわたり英ダービー(G1)と英オークス(G1)のスポンサーとなる。ブックメーカーがエプソムのクラシック競走のスポンサーを務めるのは初めてのことだ。
エプソム競馬場を所有するジョッキークラブによる"ダービーのスポンサー探し"はこの4年間で3回目のことだった。昨年までのスポンサー、中古車会社のカズー社(Cazoo)は経営が厳しくなったことで、ダービーのスポンサー契約を更新しなかったのだ。カズー社の前にはインベステック社がスポンサーを務めていた。昨年のダービーは故エリザベス女王の即位70周年「プラチナジュビリー」の祝賀イベントの一環として施行され、デザートクラウンが優勝していた。
ベットフレッド社の創設者であるフレッド・ダン氏は、「ベットフレッド社は今後3年にわたってダービーのスポンサーを務めることをお知らせするのをとても嬉しく思っています。このようなレースに関われるのは大変な誇りであり、私にとってダービーが世界一の平地競走であることに変わりありません」と語った。
ジョッキークラブのCEOネヴィン・トゥルーズデール氏は、ベットフレッド社がダービーとオークス、そしてまだ特定されていないがダービー開催(6月2日&3日)のもう2レースを後援することについてジョッキークラブは"すごく喜んでいる"と述べた。またジョッキークラブのエイミー・スターキー社長は、"この契約は英国競馬界にとってなかなか得がたい取引である"と述べた。
そして、「このパートナーシップは世界一有名な平地競走への多額の投資を意味しています。ベットフレッド社の寛大な支援に大変感謝しています」と付け加えた。
ベットフレッド社は以前、競馬界の重要なスポンサーだった。チェルトナムゴールドカップ(G1)や、イボアH・ケンブリッジシャーH・ロシア皇太子Hなどのハンデ戦を後援してきた。これらのスポンサー契約の多くは、2011年にベットフレッド社がトート社のプール賭事事業を買収したあとに締結されていた。その後、トート社は新たな投資家グループに売却された。
1984年にエバーレディ社(Ever Ready)がダービーの最初のスポンサーとなり、1995年にはボーダフォンが引き継いだ。ボーダフォンは2007年にダービーのスポンサーから撤退することを表明したが、新たなスポンサーが見つからなかったため、2008年のダービーを単発で後援することになった。
その後ボーダフォンに替わってスポンサーを務めたのは、バーナード・カンター氏が創設した銀行、インベステック社である。しかし同社は2017年に10年契約にサインしたものの、その半分も経たない2020年のダービー&オークスを最後に、スポンサーを降りるという予想外の事態を招いた。
ベットフレッド社が英国競馬で最も有名な2レースのスポンサーを務めることは、このブックメーカーがふたたび脚光を浴びるきっかけとなる。英国の競馬場におけるトート社のプール賭事独占運営権が2018年に満了となったあと、ダン氏は「競馬界とベットフレッド社はお互いに頼らず生きていくことを学ばなければならない」と述べていた。
今年英国でブックメーカーのスポンサーがつくクラシック競走は、ダービーとオークスだけである。ニューマーケットで開催される英2000ギニー(G1)と英1000ギニー(G1)のスポンサーはキプコ社(Qipco ファハド殿下とその兄弟の投資会社)が務めているが、以前はスタンジェームズ社(Stan James)やアルティメートポーカー・コム社(Ultimatepoker.com)のようなブックメーカーにより後援されていた。
過去2年カズー社がスポンサーを務めていた英セントレジャーS(G1)に、今年は新たなスポンサーがつくことが期待されている。かつてこのレースはラドブロークス社やウィリアムヒル社のようなブックメーカーがスポンサーを務めていた。
By Peter Scargill
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[Racing Post 2023年4月11日「'The Derby remains the greatest Flat race in the world' - Betfred to sponsor Epsom Classics in three-year deal」]