警察は4月22日(土)のスコティッシュグランドナショナルで予定されていた抗議行動を前日の夜に把握しており、エア競馬場のスタッフの地元ならではの知識を活用して混乱を回避する計画を立てた。
動物愛護活動家たちにスコティッシュグランドナショナルを妨害させないように"迅速かつプロフェッショナルな対応"をしたことで、スコットランド警察は称賛されている。22日(土)にはコースに侵入した25名が逮捕された。
エア競馬場のスポークスマンであるジム・デラハント氏はこう語った。「警察は金曜夜に、何かが進行中であることを示すいくつかの通信を検知しました。そして土曜朝までに、何らかの抗議行動が計画されていることが明らかになりました」。
「我々の警備スタッフは競馬場への侵入が可能な地点について、地元ならではの知識を伝えました。そして一般の人が出入りできるスーパー「テスコ」の駐車場が現実的な目的地であることが突き止められました。その駐車場は6ハロン(約1200m)のエアゴールドカップコースの途中にあります」。
「実際にそうだったことが判明しましたが、警察や警備チームがすぐに現場に駆けつけてくれました。スコットランド警察が認めたように、競馬場内で多くの逮捕者が出ました。抗議者たちは平地コースと障害コースを横断し、馬場内にある固定障害にまで辿りつこうとしたのです」。
「競馬場の端にあるバスが行き交う場所、クレイギーキャンパスのほうから彼らは2回目の侵入を行おうとしました。しかしすでに多くの警察官がいたためすぐに鎮圧されました」。
「レースの発走時刻がわずかに遅れたのは、発走委員が多頭数の出走馬が公平にスタートできるように準備したからにすぎません。騎手たちは時間どおりにパドックに入り、スタート地点に向かいました。馬場取締委員のグレイム・アンダーソン氏の指示どおりでした」。
「1万7,000人の満員の観客はコース上に数人の抗議者がいることに気づいており、ブーイングが起こりましたが、レースの実施に支障をきたすことは一切ありませんでした。私も警察も場内アナウンスをすることはなく、レースは通常どおりに続行されました」。
地元警察はエア競馬場と緊密に連携して抗議行動を回避したと述べている。4月15日(土)のグランドナショナルでの抗議行動以降、幅広いメディアがスポーツイベントでの抗議行動を日常的に報じるようになっている。16日(月)にはスヌーカー世界選手権が中止された。環境運動団体ジャストストップオイル(Just Stop Oil)の活動家がテーブルに飛び乗り、オレンジ色の粉をまき散らしたのだ。また、動物愛護団体アニマルライジング(Animal Rising)は夏も混乱を引き起こすつもりだと表明している。
スコットランド警察のティム・メアーズ副署長はこう語った。「4月22日(土)午後3時20分ごろ、エア競馬場でメインレースであるスコティッシュグランドナショナルの直前に、大勢の抗議者たちが障害の下に潜り込んだり、上に登ったりして、コースの方に向かって行きました。裁決委員とスコットランド警察による迅速かつ専門的な対応により、この集団が混乱を引き起こすのを防ぐことができました。結果、これ以上の問題が生じることなくレースは無事に終了しました」。
「また、その後のレースを妨害しようとする試みがありました。これにはより小規模な抗議グループが関わっていました。どちらの抗議行動でも侵入者は安全に排除され、負傷者は報告されていません」。
「全体として、今日はこれまでに25人が逮捕されており調査が続けられています。迅速に対応して介入しさらなる抗議運動の拡大を防いだ警官や裁決委員の働きを称えたいと思います」。
「私たちはスコティッシュグランドナショナルに先立ち、主催者やパートナーと緊密に取り組みました。そして人々を守り平和的な抗議を促すために適切な計画が実施されるようにしました」。
4月22日(土)の開催では2頭が命を落とした。オスカーエリート(Oscar Elite)は第2レースのノーヴィスハンディキャップチェイス(約4800m)で予後不良事故に遭った。また、2021年のスコティッシュグランドナショナル優勝馬マイティサンダー(Mighty Thunder)は暴走して厩舎に戻った後に心臓発作と思われる症状を起こした。
By James Stevens
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[Racing Post 2023年4月23日「Local knowledge hailed as Ayr Scottish Grand National protesters are foiled」]