海外競馬ニュース 2023年01月19日 - No.2 - 3
2022年の競馬場入場者数、2019年から14.4%減(イギリス)[開催・運営]

 2022年の英国の競馬場入場者数は最終集計において約481万人となり、比較可能な2019年と比べて14.4%減少したことが確認された。

 クリスマスの繁忙期には、コロナ禍前の2019年の同時期に比べて6.4%の増加が見られた。しかし月初めに天候が原因で主要開催が中止となったためにそれは相殺された。中止された開催には、チェルトナムとアスコットでの連続する土曜開催が含まれる。

 この減少の推移を見てみると、入場者数は2015年に613万人弱を記録していたが、2019年にはすでに562万人にまで落ち込んでしまっている。

 過去10年にわたり、英国における1開催日あたりの平均入場者数は2014年と2015年を除くすべての年において前年を下回っている。

 2014年&2015年以降は下降傾向が明確であり、コロナ禍の前の4年間は入場者数が連続して減少していた。
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 競馬はほかの全てのレジャー活動やサービスと同様に厳しい経済状況に直面している。食費・エネルギー支出・住宅ローン返済の大幅上昇によりニュースの見出しを飾る物価上昇率は10%弱の高水準で推移している。

 さらに、競馬場の役員からの事例証拠もある。コロナ禍が落ち着いても一部の年配客が競馬場への復帰を渋っていること、大勢の入場者が見込める夏場の数ヵ月が延期されていた結婚式などの社交行事と重なり合ってしまい、人々の週末のレジャー時間が奪われてしまったことなどである。

 平地の芝競走の開催での平均入場者数が大幅減少したことは、それらの報告を裏付けているようだ。2019年にはそれらの開催日の平均入場者数は5,856人だったが、2022年には4,866人にまで落ち込み、ほぼ17%減少したことになる。障害競走の入場者数の大部分は夏以外に落ち込んでおりその時期に限れば12.7%減少したことになる。

 競馬場の経営を担当する者たちは、2023年にこのような"社会的"要因が弱まることを望んでいる。

 競馬場協会(RCA)のCEOデヴィッド・アームストロング氏が、12月26日からの1週間で35開催日に20万人弱の観客が訪れたという見事な数字を発表したとき、その言葉には慎重な楽観論が含まれていた。

 昨年3月のチェルトナムフェスティバルが入場者28万627人という新記録を打ち立てていることもあり、主要開催への意欲も大いに高まっている。ダブリンレーシングフェスティバル(2月4日&5日 レパーズタウン)の前売券の20%は、英国からアイリッシュ海を渡ってくるファンにより購入されたことが今週明らかになっている。

 しかしRCAが好んで使う重要な指標によると、"必見"とされる開催の数は減少しつつある。

 本紙(レーシングポスト紙)の今月の報道によると、英国で3月~11月の9ヵ月間に8,000人以上集客した開催日は、2019年は158日だったが2022年はわずか120日に減少している。

 英国競馬界のさまざまな利害関係者は、年末の入場者数に驚くことはなかっただろう。昨年11月に新たな戦略と統括体制を満場一致で承認したのは、競馬界が直面している入場者数などの問題に乗り出すことが大きな動機になっていたのだ。

By Scott Burton

(関連記事)海外競馬ニュース No.44「BHA理事会を最終的な意思決定機関とする新たな統括体制(イギリス)

[Racing Post 2023年1月15日「Final British attendance figures for 2022 show 14.4 per cent fall from 2019」]