G1を何度も制してきたリチャード・ギブソン調教師(53歳)は2023-24年シーズンに香港の免許を更新しないが、香港を代表してロイヤルアスコット開催(6月20日~24日)に参戦し最後の快挙に挑もうとしている。ギブソン厩舎のセンセーショナルなスプリンター、ウェリントンがクイーンエリザベス2世ジュビリーS(G1)に挑戦するのだ。
英国ノーサンバーランド出身のギブソン調教師はフランスで調教活動を開始して、レディオブチャドや2007年&2008年香港ヴァーズ(G1)の優勝馬であるドクターディノでG1勝利を果たした。そして2011年に調教拠点を香港に移した。
香港ではアキードモフィードやジャイアントトレジャーでG1勝利を収めてきた。2021-22年チャンピオンスプリンターに輝いたG1・4勝馬ウェリントンは、極東に別れを告げようとしているギブソン調教師に、ロイヤルアスコットでの初勝利をもたらすことを目指す。
ギブソン調教師はこう語った。「仕事のうえでも家族にとってもちょうど良いタイミングだと思います。香港ジョッキークラブ(HKJC)は12年間にわたり、私たちにとても良くしてくれました。香港で上々の調教師生活を送りましたので、次のステップに進むときだと考えています」。
ギブソン調教師は長期休暇を取り、英国・アイルランド・フランスを旅行したあと、競馬界での自らの進路を決定する予定である。しかし、まずはロイヤルアスコットのクイーンエリザベス2世ジュビリーS(6月24日)に初めてこの厩舎のスターを出走させる。
2016年の同じレースで管理馬ゴールドファンがトワイライトサンに首差の惜敗を喫した。しかしギブソン調教師は現在このレースで単勝17倍とされるウェリントンがゴールドファンと同じタイプの馬だと考える。ウェリントンは昨年、香港で誰もが勝ちたがる2つのレース、チェアマンズスプリントプライズ(G1)と香港スプリント(G1)を制している。
ギブソン調教師はこう語った。「素晴らしい偶然の一致です。調教師生活においてロイヤルアスコットに管理馬を出走させたことはほとんどありませんが、ゴールドファンを連れて行くことができました。彼は勝てたのではないかと今でも思っているのです。ウェリントンは同じような能力を引き継いでいます」。
「ウェリントンのロイヤルアスコットへの遠征はずっと前から計画していたことです。香港の競馬シーズンが終わったばかりでタイミングが良いですし、彼はこの2年ほど香港の最強スプリンターであり、ここ数ヵ月では世界最強のスプリンターであるラッキースワイネスに敗れただけです。あの馬には(2走前に)わずか1馬身およばなかっただけです。それがあったからこそ、今とてもいい状態になっているのだと思います」。
ライアン・ムーア騎手が騎乗する予定となっていることでウェリントンへの信頼が高まっている。この馬が昨年12月の香港スプリントを制したときに鞍上を務めていたのがムーア騎手だった。
ギブソン調教師はこう語った。「ライアンが騎乗予定であることは朗報であり、チームの士気を高めています。彼はG1で良い勝負をする馬しか選びませんからね」。
「ウェリントンのタイムは素晴らしいものです。年齢的にもちょうど良いですね。彼はレースの6日前に現地入りし、マントンのブライアン・ミーハン厩舎に滞在します。すべてが首尾よく運んでいます。英国に到着したときにリラックスできるのでいいですね」。
「生涯獲得賞金が6,000万香港ドル(約10億8,000万円)にものぼる馬がいたら、敬意を払うべきでしょう。楽しい時間を過ごしに行くのではありません。そんなことをする年齢ではありません!レースで良い勝負をする馬を連れて行くということなのです」。
By Maddy Playle
(1香港ドル=約18円)
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[Racing Post 2023年6月6日「'We're not going for the craic - I'm too old for that stuff!' - Richard Gibson gunning for final hurrah at Royal Ascot」]