チャーチルダウンズ社(CDI)は7月3日(月)の夕方近くに、CDI所有競馬場におけるボブ・バファート調教師の管理馬の出走停止処分を延長すると発表した。
CDIのリリースによると、出走停止期間は2024年末まで延長される。そしてこの決定は"バファート氏がCDI所有競馬場の競馬の安全性と公正確保にもたらしている脅威への懸念"から下されたという。
リリース冒頭には、「バファート氏は2021年ケンタッキーダービー(G1)でメディーナスピリットが薬物検査で陽性反応を示したことに関して虚偽の説明を続けています。同馬は、ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)により(州法と規定に基づき)失格処分を受けました。ケンタッキーダービーに先立ち、バファート氏は"ケンタッキー州の競馬施行規程を理解し順守する責任を負う"という内容の合意書をチャーチルダウンズと交わしていました」と記されている。
バファート氏は当初CDIにより、2023年春開催が終了する2023年6月2日までCDI所有競馬場で管理馬を出走させることを禁止されていた。2021年ケンタッキーダービーに出走したメディーナスピリットの分割サンプルから、ベタメタゾン(ケンタッキー州ではレース当日の使用が禁止されている物質)の陽性反応が確認されたためである。KHRCの裁決委員はその後、メディーナスピリットの優勝を取り消しバファート調教師に90日間の業務停止処分を科した。審問の審査員は最近、この裁決委員の見解をKHRCへの勧告で採用した。
バファート氏は競馬界の役員やチャーチルダウンズと法廷で争ったが、あらゆる段階で敗訴した。同氏への90日間の業務停止処分の差止め要求は複数の州の裁判所によって却下された。また、当初の追放処分についてバファート氏がCDIを相手取って起こした訴訟は2年以上も続いたが、連邦裁判所の判事は5月24日にそれを棄却した。連邦裁判所のウェブサイトPACERによると、この判決について上訴は行われていない。
今回の決定の根拠として、CDIはバファート氏が継続的に施行規程を順守していないことを挙げている。
リリースにはこう記されている。「薬物検査の結果から、バファート氏が施行規程を順守していなかったことは明白です。また、同氏が現在も続けている振る舞いは、"競走馬と騎手の安全性"や"CDI所有競馬場でのレースの公正確保"を担保するためのルールを同氏が依然として軽視していることを如実に示しています。CDIの主要レースで何度も陽性反応を出しているにもかからず責任を認めようとしない調教師が、今後不祥事を起こさないとは信じられません。バファート氏は2024年末まで、どのCDI所有競馬場においても管理馬を出走させることはできません。その後、CDIはバファート氏の資格を再評価する予定です」。
当初CDIが取った措置により、2021年までにケンタッキーダービーを6勝していたバファート氏は2022年と2023年のケンタッキーダービー&オークスに参加できなかった。出走停止期間が延長されるとなれば、2024年も参加できないことになる。
本誌(ブラッドホース誌)はバファート氏を担当するクラーク・ブルースター弁護士に電話したが、現在のところ返答はない。
ボブ・バファート氏は7月3日夜、CDIによる出走停止期間の延長についてツイッターでこう反応している。
「チャーチルダウンズの私への出走停止処分を延長するという措置について、理解に苦しんでいます。2年以上前にメディーナスピリットの競走後検査での陽性反応を知った瞬間から、原因を突き止めることに全力を尽くしてきました。なぜなら診療記録で確認できるように、メディーナスピリットの関節にベタメタゾンを投与したことなど一度もなかったからです」。
「この事案については正直に包み隠さず話してきました。私たちの治療が陽性反応につながったことを認め、KHRCにはメディーナスピリットをどのような方法で治療してきたかを伝えました」。
「弁護士からは、オトマックス(抗真菌性軟膏)の使用はルール上認められており、この問題は現在KHRCで係争中であると聞かされています。このことと"ルールの軽視"とは全く関係ありません」。
「私たちの誰もが愛するスポーツの利益のために、この不運な出来事について長期間にわたって公のコメントを発表してきませんでした。そのため、『虚偽の説明を広め続けている』という指摘は明らかに不正確です」。
By Dick Downey
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[bloodhorse.com 2023年7月3日「Churchill Downs Extends Ban of Baffert Through 2024」]