賭事税引上げはアイルランド競馬界に悪影響を及ぼし、さらなるベッティングショップの閉鎖と、"不必要な"失業を引き起こし、違法賭事業者をいっそう増やすことになると、アイルランド・ブックメーカー協会(IBA)は述べている。
影響力のある税務戦略グループ(Tax Strategy Group: TSG)が、ベッティングショップおよびオンライン賭事業者に対する賭事税を0.5%引き上げるという提案を行っており、IBAはそれに対して懸念を表明した。
アイルランドの賭事税は発売金に基づいて課されており、2019年にその税率は1%から2%に引き上げられている。
TSGは7月初めに、一般的な賭事への税率の0.5%引上げに焦点を合わせた報告書を発表した。また、エクスチェンジ賭事への税率を25%から30%に引き上げることも提案している。
TSGは意思決定機関ではないが財務省が議長を務めており、その提案は予算編成過程で考慮されることになっている。
IBAは、2019年の賭事税引上げが多くのベッティングショップ閉鎖と賭事業界における失業につながったと考えている。今回の増税案が実行されることになれば、歴史が繰り返される恐れがある。
IBAのシャロン・バーン会長はこう述べている。「TSGの文書で言及されているような賭事税の変更に、賭事業界はかなり翻弄されることになります。我々のビジネスは発売金が高くても利益率の低いものです。賭事税は発売金を基に計算されるのです」。
「結果として、賭事税引上げはベッティングショップの収益性と存続に多大な影響を及ぼします。2019年に賭事税が2倍に引き上げられて以来、ベッティングショップ100店舗が閉鎖され、600人が不必要に失業したことからもわかります」
2020年予算で5万ユーロ(約775万円)の税額控除が導入され、すべてのブックメーカーとエクスチェンジ賭事業者が利用できるようになった。ただ単一事業ベースで適用されるため、実際には小規模の独立ブックメーカーにしか恩恵がない。
TSGは税額控除の1万5,000ユーロ(約233万円)の増額を提案している。しかしIBAは、小規模賭事業者がとても稀であることを考えるとこれはほとんど助けにならないと主張している。
バーン会長はこう語った。「最低限の軽減措置はわずか1~5店舗を持つ小規賭事業者にしか恩恵をもたらしません。国内にそのような賭事業者はほとんどいないのです」。
「ベッティングショップの大半は、10店舗以上を経営する賭事業者によって所有されています。実際のところ最低限の軽減措置は彼らにほとんど恩恵をもたらさず、1~2店舗しかないような賭事業者のそばで営業した場合、競争上きわめて不利を被ります。そのような小規模業者だけが実質的に賭事税が免除されるからです」。
多くの失業と店舗閉鎖が引き起こされる可能性だけでなく、この賭事税引き上げ案が違法賭事業者をさらに後押しすることになると、IBAは考えている。
バーン会長はこう続ける。「賭事業界を責任と説明義務のある産業として維持するうえで、営業免許を持つ賭事業者の重要性はどれだけ誇張してもしすぎることはありません。しかし過度な課税と、のしかかってくると思われる規制コストは、これらの賭事業者をさらに店舗閉鎖のリスクにさらします。これは最終的に多くの不必要な失業と違法賭事業者の増加につながり、賭事業者に責任ある営業を行わせ、賭事客を損害から守ろうという新たな規制や業界の努力を台無しにしてしまうのです」。
「以前から私たちがその必要性を訴え支持してきた規制の適用が間近に迫っていることを考えると、このような規制は業界に、免許料・賦課金・コンプライアンス費用など多くの追加コストを負担させることを念頭に置く必要があります。この時期に賭事部門への増税を進めることは悪影響を及ぼします。実際、さらなる店舗閉鎖や不必要な失業を招くだけでなく、国庫への納付も減少していくでしょう」。
By Conor Fennelly
(1ユーロ=約155円)
[Racing Post 2023年8月1日「'Shop closures and job losses' - Irish Bookmakers Association concerned about proposed betting duty increase」]