ニエル賞(G2)の前には、フィードザフレイムが勝って凱旋門賞(G1)で大本命に近い地位を確保するのではないかということばかりが取り沙汰されていた。しかし、独ダービー(G1)優勝馬ファンタスティックムーン(父シーザムーン)がそのシナリオをビリビリに引き裂いた。この馬の鞍上を務めたのは、2021年にトルカータータッソで凱旋門賞を制し、10月の最初の日曜日にロンシャンで勝つには何が必要かを熟知しているルネ・ピーヒュレク騎手だった。
ペースメーカーのキングオブレコーズは序盤に落ち着いたラップを刻み、下り坂で徐々にペースを上げた。ピーヒュレク騎手はファンタスティックムーンを2番手につけ追い込み勢をリードした。そして直線の入り口でダッシュをかけるとついに先頭に立ち、後方から挑んでくる馬はまったくいないように見えた。
ピーヒュレク騎手は、「もっと後方につけたかったのですが、ペースが遅かったので2番手につけることにしました。正しい判断だったと思いますね。彼はタフな馬だし、闘争心が強いのです。今日はここで強い馬と対戦したので、国際的な強豪馬に挑戦する切符を手に入れました」と語った。
ファンタスティックムーンの凱旋門賞での単勝オッズは現在11倍~21倍とされている。しかしこのレースに出走するには追加登録が必要である。
馬主であるリバティレーシングの代表ラース⁻ヴィルヘルム・バウムガルテン氏は、「重馬場はあまり望ましくありません。彼は重馬場でよく失敗してしまうのです。今日は完璧な馬場でした。ジャパンカップ(G1)やブリーダーズカップもこういう馬場になるでしょう。パリの天気予報を見て、様子を見守りながら話し合っていきたいと思います」と語った。
いつもの我慢強い騎乗からすると、フィードザフレイムは内ラチ沿いの位置を取ってから折り合いをつけるのに少々時間がかかってしまったようで、勝馬にとって本当に怖い存在にはならなかった。
パスカル・バリー調教師はこう語った。「うまく加速していったのですが、残り100mで疲れているように見え、そのあとは息があがってしまいました。勝った馬が強かったのだと思います」。
「今回彼は馬群の中にいましたね。いい練習になったと思います。もちろん2着よりも勝った方がいいに決まっていますが。3週間後に重い馬場になっているでしょうから、それが大きな助けになるでしょう」。
By Scott Burton
[Racing Post 2023年9月10日「Fantastic Moon upsets Feed The Flame in Prix Niel as Rene Piechulek enjoys another big Longchamp moment」]