ジャン-クロード・ルジェ調教師は、無傷のエースインパクトが "絶好調の状態"で 凱旋門賞(G1 10月1日 ロンシャン)に向かうと信じている。そして、欧州のミドルディスタンスの王者決定戦に向けてこの馬が辿った異例のスケジュールについて後悔はないと語った。
ビッグレースに強いクリスチャン・デムーロ騎手は9月25日(月)の朝にドーヴィル競馬場で、エースインパクトを力強いキャンターで走らせた末に先行馬を悠々と抜き切った。馬主であるセルジュ・ステンプニアック氏とグースリーレーシングのカメル&ポリーヌ・シェブーブ親子は、この馬がギアを軽々と切り替えるのを見守っていた。
仏ダービー(G1 ジョッケクルブ賞)優勝馬エースインパクトにとって究極のテストとなる凱旋門賞を6日後に控え、ルジェ調教師はくつろいだ雰囲気に包まれていた。エースインパクトは復帰戦となったギヨームドルナノ賞(G2 8月15日 ドーヴィル)でアルリファとビルキャッスルを撃退したものの、それは見ている者全員を納得させる勝ちっぷりではなかった。
仏リーディングトレーナーのルジェ調教師は、1レースしか使わずに凱旋門賞に向かうことは狙いどおりだと確信している。それは愛チャンピオンS(G1)や伝統的なプレップレースであるニエル賞(G2)のどちらかに出走させるという代案とは対照的だった。
ルジェ調教師は、「エースインパクトをフレッシュな状態に保たせるためのプランです。凱旋門賞を制すのはまだフレッシュな馬だと思うのです。クリスチャンもとても満足していました。私と同じで多くは語りませんでしたがね。でも馬がとても順調だと感じているようでした」と述べた。
ルジェ調教師は以前から、自ら手掛けた仏ダービー馬の復帰戦としてギヨームドルナノ賞をよく使ってきたが、そのあと凱旋門賞に直行させるというのは新しい戦略だ。
しかし2020年にソットサスを凱旋門賞優勝の栄光に導いた調教師は、エースインパクトにもう一戦させていたとしたら、それは逆効果になっていただろうと信じて疑わない。とりわけニエル賞が9月10日(日)に季節外れの酷暑の中で行われたことを考えるとなおさらだ。
ルジェ調教師はこう語った。「少し気が立っているようでしたから、凱旋門賞トライアルの日に興奮させたくなかったのです。あの週末のロンシャンの気温を見ると、出走馬にとっては過酷な一日だったと思うので、後悔はしていませんよ」。
「エースインパクトはそのころ馬房でゆっくり過ごしていましたね。しかし思い出してみてください。仏ダービーのあとの2~3週間の休養を除けば、1月のデビュー以来、彼はまともな休養を取ることなく働きづめだったのですよ」。
ルジェ調教師のドーヴィルの調教拠点は、凱旋門賞トライアルと愛チャンピオンS(G1)開催日(9月9日)の直前に大雨に見舞われていた。つまりその週末に出走したならば、最終追い切りは理想とは程遠い馬場状態で行われることとなっただろう。
9月19日(火)のドーヴィル競馬場での1週前追い切りは、デムーロ騎手が"ビリヤード台"と表現するほど速い馬場で行われた。エースインパクトが総賞金500万ユーロ(約8億円)の大一番に向けて行った最終追い切りにおいても、ドーヴィルの馬場はふたたび抜群の状態に戻っていた。
ルジェ調教師はこう語った。「これまですべてが順調に来てます。決戦の日まであと6日です。この調子が続いて問題がないことを願っています。馬はとても元気で、8月からさらに強くなっていますね」。
「彼にとってギヨームドルナノ賞はトリッキーなレースになるだろうと、いつも言っていたのですよ。なぜなら6月の仏ダービーのあとの数週間は静かな日々を過ごしていて、彼を立て直さなければならなかったからです。決して簡単なことではないのです。しかしこのレースのあとも彼は成長していますし、絶好調の状態で凱旋門賞に臨めると思いますよ」。
彼はほかの凱旋門賞ウィークエンドの出走予定馬、ファング[フォレ賞(G1)]・ザビアリ[ジャンリュックラガルデール賞(G1)]・エレヴァン[ドラール賞(G2)]の追い切りも見守った。
エースインパクトは、ボルドーの2戦目では不良馬場によりあまり良い勝ちっぷりを見せなかったが、馬場状態には比較的適応できることを示した。25日(月)朝に更新されたロンシャンのペネトロメーターの数値は3.8「重」である。週末は乾燥していたので、22日(金)朝の4.1から改善したのだ。
天気予報は28日(木)ににわか雨が降る可能性があるとしているが、今年の凱旋門賞は過去4年のどのレースよりもずっと速い馬場で行われそうだ。
By Scott Burton
(1ユーロ=約160円)
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