ホリー・ドイル騎手(26歳)に1ヵ月間の騎乗停止、1年間の執行猶予が科された。3月31日にニューキャッスル競馬場で禁止薬物の陽性反応が出ていたのだ。
懲戒委員会は「意図的ではなく」、「偶発的なミスによる」違反であると認めた。それは、肘の怪我を治療するための市販の鎮痛剤の成分をドイル騎手が誤訳したことから生じたものである。
ドイル騎手は自由に騎乗活動を続けられるが、今後1年間に薬物検査で陽性反応が出れば制裁の対象となる。
パブロンエースPro錠は、昨年末にドイル騎手が短期免許を取得して日本で騎乗していたときに購入したもので、ドイル騎手はイブプロフェンとパラセタモールしか入っていないと考えていた。騎乗を再開した際に、ドイル騎手は禁止物質ジヒドロコデインも含むこの鎮痛剤を服用し続けていた。そしてアプリを使ってこの鎮痛剤のパッケージの翻訳を試みた。
審査員団長を務めるサラ・クラウザー勅撰弁護士は迅速な審理を終える際にこう結論づけた。「BHA(英国競馬統括機構)の意見に同意します。それは調査結果を鑑みて、罰則を2ヵ月間の免許停止処分から1ヵ月間の騎乗停止処分に軽減するのが適切であるというものです」。
ドイル騎手は負傷した肘の手術を2月に受けた当初、ジヒドロコデインを処方されていた。しかし、体調不良を訴え服用するのを中止していた。
ドイル騎手は次のような声明を発表した。「肘の負傷を経て4月に騎乗を再開したとき、ジェリー・ヒル博士が深刻な痛みの治療に使用される鎮痛剤、ジヒドロコデインの陽性反応が出たことを知らせてくれました」。
「2月に肘の手術を受けてジヒドロコデインを処方されましたが、数日後に服用をやめました。気分が悪くなったからです。ところが4月に騎乗を再開したときにこの物質の陽性反応が出ました。それで、回復中は腫れを抑えるためにイブプロフェンとパラセタモールを服用していただけだったと述べました」。
「調査の結果、海外で騎乗していた際に購入した1箱のイブプロフェンに少量のジヒドロコデインが含まれていて、そこから混入したことが判明しました。BHAはこれが陽性反応の原因である可能性が高いと認めています」。
「BHAはこの違反が悪意によるものでなく意図的でなかったことも認めています。しかし無過失責任(発生した事故などについて故意・過失の立証を要することなく行為に負わせられる責任)に関わる事案であるため、1ヵ月間の騎乗停止処分を科すことが適切であると判断しました」。
「この5ヵ月間にわたって支えてくれアドバイスをしてくれた家族・友人・雇用主には、非常に感謝しています。終わって本当に良かったと思っています」。
ジヒドロコデイン(DCH)は鎮痛剤や咳止めとしてさまざまな組合せで使用されている。そして日本では市販されている。
ドイル騎手は昨秋、JRA(日本中央競馬会)の競馬場で騎乗できる短期免許を付与された外国人ジョッキーの1人だった。昨年の10月29日から12月25日まで騎乗し、107戦2勝の成績を挙げていた。
By Scott Burton
[Racing Post 2023年10月9日「Hollie Doyle given suspended one-month ban after 'one-off error' led to positive test」]