海外競馬ニュース 2023年10月12日 - No.39 - 4
数々の名馬を出した名門アンマーラント牧場が処分セールへ(ドイツ)[生産]

 ドイツで最も有名な生産牧場のひとつであるアンマーラント牧場(Gestut Ammerland オーナー:ディートリッヒ&アナベル・フォン・ボエティッヒャー夫妻)は、このたび閉鎖されることになった。繋養されていた馬はすべて、アルカナ社12月繁殖セールで売却される。

 夫妻は昨年、将来についての憶測に対して反論せざるを得なかった。彼らはシュタルンベルク湖畔(ミュンヘン近郊)にあるこの牧場にとどまり、いずれまた生産活動を再開するかもしれないという希望を持っているが、一時代の終焉であることには違いない。

 夫妻は1989年にアンマーラント牧場を創設し、その自家生産馬はこれまでに欧州を中心にG1・17勝を挙げている。輩出馬には、凱旋門賞(G1)を制したハリケーンランやヴァルトガイスト、世界を舞台に活躍した姉弟のボルジア(1999年ジャパンカップ8着)とボレアルや、仏クラシック勝馬ゴールデンライラック、トップサイアーのロペデヴェガなどがいる。

 アンマーラント牧場は独ダービー(G1)を数回制し、フランスのクラシック競走をすべて勝っただけでなく、愛ダービー(G1)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)、コロネーションカップ(G1)、香港ヴァーズ(G1)など数々のレースを制している。現在脚光を浴びているのは、独ダービーとバーデン大賞(G1)で2着となったミスターハリウッドと、リステッド勝馬で英セントレジャーS(G1)に出走したチェスピースである。

 アナベル・フォン・ボエティッヒャー氏は声明でこう述べた。「35年の年月を経て、アンマーラントのサラブレッド種馬場を閉鎖することをディートリッヒとともに決定しました」。

 「もちろん私たちはアンマーラントにとどまり、いずれまた子供たちが歳月を経て生産活動を再開することになるかもしれません。アンマーラントの素晴らしい冒険に携わってくださったすべての人に感謝します。また生産者の皆さんが、私たちが育んだファミリー(牝系)でG1勝利を収められることを願っています」。

 処分セールでは、ヴァルトガイストの全妹でシユーニの仔を身ごもっているワイルドフェイダーや、ロペデヴェガの半妹でオペラ賞(G1)3着のレディフランケルも上場される。アンマーラントの上場予定馬には繁殖牝馬8頭、現役を引退した牝馬4頭、当歳馬2頭が含まれる。

 アルカナ社のブラッドストック担当理事であるリュドヴィック・コルニュエル氏はこう語った。「アンマーラントのような権威ある牧場の処分セールを委託されたことを、弊社はきわめて光栄に思います。フォン・ボエティッヒャー夫妻の牧場が送り出した馬の競走成績を見れば明らかです。非常に質の高い運営を通じてそれは達成されました」。

 「このような素晴らしい血統が提供されることは、世界中の購買者にとってまたとない機会です。12月の繁殖セールに多くに購買者の皆様を迎えることを楽しみにしています」。

By Racing Post Bloodstock Staff

[Racing Post 2023年10月6日「German powerhouse Gestut Ammerland to disperse breeding stock at Arqana in December」]